「キングダム」第26巻において、趙の軍を支える将軍「慶舎」が登場。
彼の冷静で無表情な様子が、作中の趙の将軍たちの中でも際立っています。
剣の技術を駆使する将軍が多いなか、慶舎はその知性を駆使して敵に打ち勝ちます。
趙の策士、李牧からも「信頼しきっている」と高く評価されており、「確かな力を持つ」と称賛されるほどです。
知略で知られる強敵、麃公との対峙においても、「慶舎が敗れることはない」と確信されていました。
しかし慶舎は、予想外の相手によって斬り伏せられ、命を落とします。
こんな慶舎の死因と、過去や歴史的事実について掘り下げます。
慶舎の最後は李信に敗れ命を落とす
まずは結論からお伝えします。
慶舎は李信に打ち倒され、命を落としました。
「キングダム」では、龐煖や李牧と並ぶ、三大天に匹敵する将軍としての噂が広まっていた慶舎。
信にとって打倒すべき相手ではありましたが、慶舎の死に多くのファンが悲しんでいます。
では、慶舎とは具体的にどのような武将だったのでしょうか？
慶舎は秦を滅ぼすべく立ち上がった、趙の中核となる武将です。
作中では「沈黙の狩人」として知られ、本能型として恐れられた存在です。
その慶舎が命を落としてしまった、経緯と理由を解説します。
李信との一騎打ちで敗れ去る
慶舎は黒羊戦において総大将として名を馳せ、秦の桓騎軍と対峙します。
戦闘4日目には、自ら近衛兵を率いて李信の飛信隊を壊滅させようとしました。
しかし、桓騎は慶舎が飛信隊を狙うことを見越しており、慶舎は桓騎の策略に嵌まります。
紀彗の援軍に救われ、一時は危機を脱しましたが、李信の飛信隊の急襲に遭い、最終的には李信との一騎打ちで敗れ去りました。
慶舎が負けた3つの敗因を分性
その時の敗因を分析してみましょう↓
- 戦いの4日目に桓騎の動きが見えず、焦りが生じたこと。
- 飛信隊を排除するために丘を降りた判断が仇となったこと。
- 李信の成長を見極めきれず、彼の戦闘スタイルを読み切れなかったこと。
これらが慶舎の死に至る運命を招いたと考えられます。
第44巻・第472話「凶」で描かれる
第44巻の第472話「凶」において、慶舎の運命が決された李信との一騎打ちの瞬間が描かれます。
「本能型」と称される慶舎の強大な力に、李信は苦戦を強いられます。
李信は新六将への道を歩む中、慶舎も三大天の座を目指していたことを知り、全力で戦います。
信の成長に焦り斬られてしまう
一方で李牧が注目するように、慶舎も李信の成長を見守っていました。
しかし、慶舎は李信の予想以上の成長に焦りを感じ始め、李信が「凶」になることを認識します。
慶舎は、緊迫した戦いの中で反応が遅れ、李信の迅速な剣技により、致命的な一撃を受けてしまいます。
最終的に李牧への恩返しも果たせずに、無念のうちにこの世を去る慶舎。
その死は、多くの読者に深い印象を残しました。
黒羊戦では戦略的な指揮をする
以前の合従軍での活躍に続き、黒羊の戦いでは李牧に代わって、慶舎が趙軍の総指揮を務めます。
合従軍編で慶舎が狙っていたのは、秦軍の麃公でした。
麃公軍の突撃に対し、対峙したのは李白軍です。
慶舎は意図的に李白軍に作戦を伝えず、イレギュラーな形で麃公軍との交戦を行いました。
この作戦の真髄は、李白軍が未知の状態で戦うことにあり、麃公のような本能型将軍にも作戦の有無が察知されにくくなります。
李白が何も知らされていなかったため、戦闘は自然な流れに移り、麃公も異常を感じることはありませんでした。
そうしている間に、李白軍は麃公軍を足止めします。
その隙に慶舎は、麃公軍を右翼・公孫龍軍へと誘導し、同時に後方を左翼・万極軍が襲撃しました。
この巧妙な戦略により、慶舎は麃公軍を壊滅的な危機に追い込みます。
このように黒羊戦では、総指揮者として慶舎がその軍略の才を発揮したのです。
「沈黙の狩人」で桓騎軍を追い詰める
黒羊丘の戦いでは、趙軍の総大将として慶舎が桓騎軍および、飛信隊を迎え撃ちます。
この戦いでは、丘を最初に制することが、勝利の鍵を握るとされています。
慶舎軍の4万、紀彗軍の3万という兵力で数的に優位に立つ中、慶舎は意図的に丘への登攀を避けていました。
その理由は、敵軍、特に桓騎軍の動向を探るためです。
戦局が動いたのは、桓騎軍のゼノウ一家が戦場に現れたときです。
慶舎はこのタイミングで、精鋭部隊を率いて前線に出ます。
岳嬰軍がゼノウ・雷土隊を引きつけている間に、慶舎は尾平が指揮する第二軍に急襲をかけます。
この計画的な急襲により、慶舎はゼノウ・雷土軍を孤立させる戦果を上げました。
この戦略が、慶舎の異名「沈黙の狩人」の由来を示しています。
このようにして慶舎は、徐々に桓騎軍を追い詰めていくのです。
慶舎の過去と歴史的な背景について
李信の刃により命を落とし、李牧への恩返しが叶わなかった慶舎。
最後の瞬間には、無念を抱えながらこの世を去りました。
慶舎がどれほど李牧との関係を重視していたかが、彼の最後の言葉からも伺えます。
慶舎の過去には、どのような出来事があったのでしょうか？
以下で、慶舎の人生と彼が歴史に残した足跡について、詳しく掘り下げていきます。
孤独で育ち軍略大会で活躍する
慶舎は孤児として育ち、田舎の武器屋で生活を支えながら軍略大会で名を馳せ、生計を立てていました。
彼は軍略大会で「待ち」戦略を駆使し、李牧の弟子を圧倒するなど、その才能が際立っていました。
李牧から剣術を学び旅に出る
慶舎の才能を最初に見出したのが、李牧です。
李牧は慶舎に「私と共に旅に出ましょう」と声をかけ、彼の人生に決定的な転機をもたらします。
李牧との出会いがなければ、慶舎は軍略大会での金稼ぎに終始していたかもしれません。
李牧の下で剣術を学び、鍛え上げられた慶舎は、才能をさらに磨いていきます。
最終的には李牧からの信頼を得て、趙軍の総指揮を任されるほどに成長しました。
慶舎は実在した武将がモデル
「キングダム」に登場する多くのキャラクターは、史実の人物がモデルとされています。
慶舎もフィクションのキャラクターではなく、実在した武将ですが、彼に関する資料は極めて少ないです。
史実では、紀元前256年に楽乗と共に、秦の信梁軍を破っています。
さらに紀元前240年には、東陽と河外の地の兵を率いて、黄河の橋を守ったことが記録されています。
死因は不明で創作が大きい
一方で、慶舎の死については明確な記録が残されておらず、彼の最期は未だ謎に包まれています。
原泰久先生は「史実に残っていた名前を引用した」と言っており、キングダムの慶舎は、その名前を除き、ほとんどが創作によるものと言えるでしょう。
まとめ
- 李信との一騎打ちに敗れて命を落とす。
- 死亡シーンは、第44巻、第472話「凶」で描かれている。
- 黒羊の戦いで公孫龍軍を右翼へ誘導し、万極軍による後方からの攻撃で麃公軍を壊滅的な状況に追い込んだ。
- 第一軍のゼノウ・雷土隊と戦っている間に、第二軍を急襲し、ゼノウ・雷土軍を孤立させた戦略が功を奏した。
- 孤児として育ち、才能を見出された後、李牧のもとでその才をさらに磨いた。
- 史実の人物に基くが、詳細な資料は少なく、キングダムでは名前以外は創作。
以上が、慶舎（ケイシャ）の最後、過去、および史実の概要です。
慶舎は李牧に認められた才能ある武将でしたが、李信の予想外の成長によって敗れました。
李牧にとっても、一人の優秀な武将を失ったことは大きな損失であり、その死を悼むことでしょう。
一騎打ちの際には、李信を追い詰めるほどの戦いを展開した慶舎。
しかし、生きてさらに功を重ね、李牧に恩返しを果たしたかったのかもしれませんね。
