キングダムの第729話「美しい子」にて、桓騎の過去エピソードに登場する美しい女性、偲央(しお)。
偲央は、子供たちを纏め上げる盗賊集団のリーダー役を担い、山道で旅行者を襲うものの、困らせるような物は奪わないという、柔らかな方針を持っていました。
偲央は桓騎との出会いを通じて、狼甫家の手による追撃を生き抜く術を学びます。
砂鬼一家が次々と力を増していく中、偲央はある日突如として行方不明に。
発見された際には、偲央の体は悲惨な状態で見つかりました。
この残酷なシーンに至った背景とは何か?
なぜ、偲央をこれほどまでに凄惨な方法で、殺害する必要があったのでしょうか?
加えて、この犯行を行った人物は誰か?
その時、桓騎はどのような対応をしていたのか?
今回は砂鬼一家の先代リーダー、偲央の生涯と最期について詳しく解説していきます。
偲央の死因と死亡するまでの経緯
冒頭で紹介した通り、第729話「美しい子」で偲央が登場します。
その話では、偲央(しお)がまだ砂鬼一家として名を馳せる前に、桓騎を保護した経緯が描かれています。
激しい雨が降る山道で倒れていた桓騎の、異常に美しい顔に心打たれ、偲央は彼を見捨てることができませんでした。
砂鬼一家は、もともと子供だけで構成された盗賊団です。
偲央は「より弱い者を守る」という理念のもとに、この集団を組織しています。
桓騎が狼甫家を代わりに襲撃
しかし、彼らもまた、狼甫家に上納金を支払わないと、容赦なく犠牲にされてしまう立場にありました。
偲央は、狼甫家に対して抵抗できずにいましたが、桓騎はその場で狼甫家の5人を襲撃し、見せしめにします。
桓騎は偲央が抵抗せずに我慢する姿を見て、代わりに行動に出たのです。
偲央が仕返しを恐れる中、桓騎は、
「お前らがおかしい。当たり前になっているだろうが、奪われること自体がおかしいんだ」
と激しく語ります。
聖地を捨て砂鬼と名乗る
その後、狼甫家の嫌がらせは絶えず、偲央はついに自分たちの聖地を捨てる決断をします。
この出来事を境に、偲央たちには「人間ではない」という噂が立つように。
そこから偲央は「砂鬼」と名乗り、新たな生き方を選ぶのです。
偲央がどのような経緯で最後を迎えるのか、以下で詳しく説明します。
襲撃され誘拐されてしまう
第750話では、偲央の「死亡」が明らかにされます。
偲央が桓騎の女であると知られたため、桓騎の不在を狙って砂鬼一家が襲撃されます。
その際、偲央はさらわれてしまうのです。
遺体はすべての手足が無かった
偲央はその美貌で知られていましたが、その遺体は手足をすべて切り落とされたという、非常に悲惨な状態で描かれています。
これを目にするのは、非常に辛い体験です。
恐らく、桓騎を憎んだ者が偲央を殺害したと思われますが、なぜこれほどまでに残酷な方法を選んだのか疑問が残ります。
「キングダム」においても、このシーンは最も衝撃的でグロテスクな描写の一つとされています。
城邑の城主・紀巴が誘拐した
桓騎が不在の間、偲央を誘拐したのは紀巴です。
紀巴は、城邑の城主であることが明らかになっています。
紀巴が偲央を誘拐した理由は、地域での影響力を強化するためであり、桓騎への見せしめとして偲央を殺害したのです。
乱暴された後に殺害された
衣央の証言によると、「何度も乱暴され、手足を斬られた非常に悲惨な状態だった」と言っています。
この衝撃的な言葉に、信たちも驚愕を隠せませんでした。
紀巴は桓騎に対して自らの兵力を誇示し、「逆らう者は偲央のようになる」と警告し、偲央を見せしめとして乱暴し、最終的には殺害したのです。
桓騎は恋人を失い絶望する
偲央はただ美しいだけでなく、強くて美しいという特徴から、桓騎は偲央に深く惚れ込んでいました。
偲央という恋人を失ったことにより、桓騎は悲しみに暮れて涙に崩れます。
普段は強気な態度を見せる桓騎も、偲央を失ったことによる絶望は見るに耐えないものでした。
桓騎は紀巴に復讐を試みる
偲央の死により、怒り狂った桓騎は紀巴に復讐を試みますが、偲央の仇を討つことはできませんでした。
紀巴の城は非常に堅固で、内部に侵入することが困難とされているからです。
仇を討つ手段が見つからない中、桓騎は砂鬼一家を去る決意を固めます。
首斬り桓騎の起源となる復讐
この偲央の悲惨な死は、桓騎が「首切り桓騎」として知られるようになる、きっかけとなりました。
砂鬼一家を去った数年後、桓騎は軍隊に匹敵する力を持つ一家を立ち上げます。
この新たな力を背景に、桓騎は紀巴の城を攻略しました。
その際、城内にいた紀巴を含む、全ての人間の首を桓騎自身が斬り落としたことが明らかになります。
この出来事が「首切り桓騎」という、異名を得るきっかけとなりました。
桓騎の強さは激しい怒りが根源
首を斬り落とす時の桓騎の顔は、普段の彼とは異なり、偲央の仇を討つという憎しみに満ちていたと言われています。
偲央という存在を失ったことで、桓騎はその光を失い、次第に闇の深みへと自らを突き進めていきます。
桓騎の圧倒的な戦闘力の根源は、「全てに対する激しい怒り」から来ていることが判明しています。
少年時代からの桓騎は、残虐な一面を持っていましたが、偲央を失ったことでその性質が、さらに根本的な残虐性へと変化したのです。
偲央との出会いで桓騎は強くなれた
砂鬼一家の成員である召は、偲央と桓騎が出会わなければ、偲央の悲惨な死を避けられたのではないか?と考えています。
しかし、衣央は「桓騎はただ闇の中にいるだけではない」と言っています。
桓騎は偲央を失っても絶望に陥ることなく、虚ろになることを拒んでいます。
この不完全な世界に絶望していないため、「誰よりも怒り続ける」ことができるのだと衣央は理解しています。
桓騎の心の奥に、偲央という小さな光が常に存在しています。
偲央との出会いがあったからこそ、桓騎は「これほどの武力を持つ男になれた」と衣央は語っています。
この衣央の言葉に、砂鬼一家のメンバーも納得の様子でした。
衣央と砂鬼一家は聖地へと帰還
このように桓騎だけでなく、妹の衣央も亡き姉の意志を継いでいます。
砂鬼一家全体が、偲央との出会いの重要性を認識し、偲央の思いを受け継いでいることが明らかになります。
偲央の悲劇的な死は、桓騎だけでなく、彼の妹である衣央にも深い苦しみを与えました。
血のつながった姉妹として、紀巴への憎悪もひとしお強かったことでしょう。
最終的には、飛信隊、摩論、オギコとともに桓騎の最期を見届けた後、衣央と砂鬼一家は聖地へと帰還します。
まとめ
砂鬼一家の召の証言によれば、桓騎との出会いがなければ、偲央は悲惨な最期を迎えることはなかった可能性があります。
しかし、桓騎との出会いにより、偲央は狼甫家に逆らう勇気を得ることができました。
偲央は桓騎にとって大きな支えであり、その死が桓騎軍の創設という、壮大な武力の集結に繋がったと言えるでしょう。
桓騎自身も、偲央を心に思い続けながら生涯を全うしましたが、桓騎も本心では、二人で共に幸せに生きることを望んでいたのです。