【キングダム】の世界には、龐煖(ほうけん)という圧倒的な戦士がいます。
戦場で突如として現れる龐煖は、中華の英雄たちを次々と打ち倒して行きます。
秦の王騎や麃公、燕の劇辛など、彼が倒した相手は名だたる者ばかりです。
さて、この龐煖とは一体どんな人物なのでしょうか?
「武神」と自称する、龐煖の真の意図とは何か?
また、龐煖が戦場へと足を踏み入れるようになった、趙の李牧との関わりについても興味深いです。
この記事では、龐煖の正体や目的に迫ります。
龐煖の正体はどんな人物なのか?
龐煖は通常の武将とは、一線を画す強さを持っています。
龐煖の一振りは、敵兵を5~10人同時に軽く吹き飛ばすほどの力を持つのです。
なぜ、彼が「武」において極みを追求したのか?
その理由は、龐煖自身にしかわかりません。
龐煖の内面を完全に理解する者は、誰一人としていないからです。
しかし、龐煖が探求した「武」の真意を知る者がついに現れました。
その人物は信です。
詳細は以下で解説します。
李牧が三大天の地位を獲得する
趙国には「三大天」と称される、極めて影響力の高い3人の軍事指導者が存在します。
かつての黄金時代に、三大天の最後のメンバーである廉頗が国を去った後、長い間その座は空席でした。
この空白を埋める形で、突如として登場した無名の将軍、李牧が三大天の地位を獲得します。
武の象徴として三大天になる
李牧は、趙国の「武の象徴」として龐煖を三大天に引き上げ、重要な戦いでは総司令官として龐煖を前線に立たせました。
ただし、龐煖自身が戦略家であるわけではなく、指揮官としての資質は持ち合わせていません。
ただ単に「武」を極めただけであり、実際の戦略や指揮は李牧や趙荘が担っていました。
敵の気配を察知する能力を持つ
龐煖は野生動物のような感覚を持ち、敵の「強敵」の気配を察知する能力を有しています。
秦の六大将軍の一人である摎は、龐煖のこの感知能力により、夜襲に遭い命を落としました。
馬陽の戦いでは、自らに近い能力を持つ羌瘣を感知し、夜襲を敢行して秦軍を分断したことがあります。
これは三大天としての戦略ではなく、龐煖の「自分より強い存在を許せない」という本能的な行動だったのです。
王騎との戦いで苦戦する
龐煖が摎を倒した際、王騎によって瀕死の重傷を負わされたことがあります。
その時の龐煖は、「強い者が2人もいるとは思わなかった」と不意打ちを受けた感じでした。
この深い傷を胸に、龐煖は三大天の座に留まり続けます。
龐煖は王騎に対して借りを返す機会を、ひたすらに待ち望んでいました。
とうとう念願の対戦が実現しましたが、実際には王騎の方が上手だったため、
「自分が武の頂点にいるはずなのに、なぜ負けるのか?」
という疑問に苛まれます。
王騎に勝つが納得がいかない
外部の干渉もあって、龐煖は王騎を倒すことができましたが、その勝利に納得がいくことはありません。
戦い全体としては勝ったものの、一対一の実力では明らかに劣っていることが分かります。
この矛盾を抱えながらも、龐煖はさらなる強敵を求め続けることになります。
自分を求道者と位置付ける
龐煖は自身を「求道者」と位置付けていました。
求道者、すなわち「道を求める者」は、「人々の救済」を目的としています。
この求道者たちは、キングダムの世界において古来から存在していました。
絶え間なく争いを繰り返す人々の苦悩と、愚かさを真剣に救おうとする者たちによって形成された集団です。
自らが模範となり武を体現する
彼らは戦乱を終結させ、人々を救う道を模索しますが、そんな道が存在しないと結論付けました。
その結果、自らが模範となり、その姿で人々が幸せになる可能性を信じたのです。
この理念を胸に、龐煖は「武」を体現する者となり、戦乱の終結を目指します。
しかし、王騎に敗北することで、自己の内面にある矛盾と向き合うことに迫られるのです。
龐煖の真の目的は何なのか?
ここまでは、龐煖がどのような存在であるかを解説してきました。
龐煖はまさに「武」の道を究め、自らが直面する課題を解決するために、絶えず強敵を求め続ける人物です。
では、龐煖が最終的に達成したいこととは、一体何でしょうか?
以下で、龐煖が武神としての地位を得た、真の目的について詳しく解説します。
武力により世界平和に導く考え
龐煖は日常の営みを超越し、「武神」としての存在でありながら、「最強であること」を示すために誰よりも力をつけました。
龐煖の目標は、この世から争いを無くすことです。
武を極めることによって争いを消し去り、世界を平和に導くという彼の考えは、表面的には矛盾しているように見えます。
しかし、圧倒的な武力がもたらす「抑止力」を通じて、平和を実現する道も実際に存在します。
この抑止力こそが、龐煖が目指した平和への道であると言えるでしょう。
武神になった理由は分かっていない
龐煖は、一切の人間的感情を捨て去り、「武」という道を深く追求し続けます。
作品中では、龐煖がなぜ「武神」となったのか、その具体的な理由は明かされていません。
龐煖がまだ幼い頃に、前の武神によって誘拐され、その方法で育てられたとされています。
この前武神が、村の人々を殺害して龐煖を連れ去った意図や、その全貌は不透明です。
ただ、龐煖が「武神」の役割を継ぐ者であることは事実です。
もし、龐煖の運命が求道者だけが感じ取ることができる、大地の声の導きによるものであれば、龐煖は生まれながらにして、その運命を帯びていたのかもしれません。
李牧により一流の武士と出会う
以下は龐煖と、李牧の出会いのエピソードです。
戦いに敗れた李牧が、敵から逃れるために深い山中を彷徨っていた時のことです。
そこで、龐煖との運命的な出会いがありました。
李牧は「邪魔なら殺せ」と挑発しますが、龐煖は大地の声を聞き、「お前は私の道を答えに導く存在だ」と悟ります。
その後、李牧は龐煖を王騎や劇辛といった、一流の武将たちと引き合わせ、彼らがいる場所へと導いていきます。
これらの出会いが「答え」への道を示すかに見えました。
しかし、実際にはそれは龐煖たち「求道者」の求める答えから、遠ざかる結果となります。
その背景には、中華全体が望む答えと、求道者たちが見出そうとした答えとの間に、存在する大きな隔たりがあったからです。
信が「答えを持つ者」として登場
龐煖は長らく「この道が正しいのか?」という深い疑問を抱えていました。
王騎、劇辛、麃公も「答えを持つ者」とされていましたが、その力を示すことができず、龐煖には十分に伝わりません。
しかし、遂に「答えを持つ者」が現れます。
それは、龐煖が何度も戦場で立ち向かってきた、信です。
信は答えを伝えることに成功する
三人の大将軍が導き出せなかった答えを、信が龐煖に直接ぶつけます。
信の武力自体は、大将軍たちに及ばないかもしれません。
しかし、彼らが伝えられなかった深い思いを、信は龐煖に伝えることに成功しました。
信の言葉が龐煖に響いたのは、「皆の気持ちを背負って戦う」という強い意志が、三人の大将軍よりも強かったからです。
龐煖が個人として「武を示し、争いを無くす」という意図を超えて、信の理念が龐煖に届いたのです。
結果として「勝ったものが正しい」という、単純な理論になるかもしれません。
でも、戦国の世で「武」を体現する相手にとっては、これが最も適切な答え方であったと言えるでしょう。
まとめ
龐煖の考え方は、秦国大王の政や趙国の李牧、斉王など、戦国の終結を本気で望む者たちと通じるものがありました。
龐煖の方法は道半ばで終わることとなりますが、どの答えが正解かは誰にも分からないままです。
政が導く中華統一への壁であった「龐煖」という存在が消え去り、信たちの夢はさらに前進します。
龐煖の真の存在意義は、「中華の長い戦乱が招いた災い」そのものかもしれません。