漫画「キングダム」に登場する一人の将軍、桓騎は存在感が際立っています。
秦国のベテラン将軍・蒙驁に忠実で、かつて六大将軍に匹敵するとも評されるほどの軍略の天才。
桓騎の出身は野盗であり、その非情なふるまいから「首切り桓騎」という異名を持つほどです。
この軍事の才能を持つ桓騎も、過去の戦いで敵に弱点を突かれたことがあります。
桓騎の持つ弱点とは、一体何なのでしょうか?
桓騎は最強だが隠された弱点もある
桓騎は魅力的な風貌を持つ男で、その姿はまるで妖気をまとっているかのようです。
美しい外見とは対照的に、元々は野盗の首領として名を馳せていました。
残酷な行動を繰り返し、その悪名高い評判と戦闘の才能を同時に磨き上げています。
しかし、桓騎の真の実力には、まだ多くの謎が残されています。
戦いにおいては、勝利を掴むためならばどんな手段も躊躇しないため、敵将にも恐れられる存在です。
表面上は「最強」に見える桓騎ですが、実は彼にも「弱点」が存在していました。
実質的なワンマン体制が弱点
結論を先に言うと、桓騎の弱点は「実質的なワンマン体制」である点にあります。
主人公の信は仲間たちとの絆を大切にし、その力を戦いで生かします。
これに対し、桓騎は信とは正反対の存在です。
自らの圧倒的な「力」と「才能」のみで勝利を収め、残虐な手段も厭わないタイプです。
桓騎の「カリスマ性」によってなんとか軍が纏まっている状態ですが、軍内には戦略を練る軍師が存在するものの、最終的には桓騎自身の独断で戦が進行します。
この状況が「実質的なワンマン体制」を形成していると言えるでしょう。
実際に、かつて桓騎の部下だった那貴は、「飛信隊で食う飯の方が美味い」と発言し、飛信隊に移籍しました。
これは桓騎のワンマン体制よりも、居心地の良さを求めた結果と見えます。
外から見れば、桓騎軍も飛信隊も自由な雰囲気があると思われがちですが、飛信隊は「信を中心に信じ合っている」のが大きな違いです。
李牧と慶舎が弱点を見抜く
黒羊丘の戦いで、趙国の戦略家である李牧と慶舎が、桓騎の弱点を探るシーンが描かれています。
戦中、桓騎が勝負をかけた際、慶舎とその部隊は桓騎の攻撃を回避しました。
その直後、慶舎は「桓騎の恐ろしさは理解した。そして、その弱点も把握した」と宣言します。
さらに戦後、李牧は隠れて戦況を観察し、「桓騎の弱点だ」と口にしています。
この戦で趙は慶舎を失ったものの、紀彗のような未知の将軍と桓騎の弱点を得るという代償を得ます。
おそらく李牧と慶舎は、桓騎の弱点を同様に捉えていたのだと考えられます。
原作には、この点についての具体的な言及は少ないですが、ファンの間での議論は活発です。
部下でも桓騎の意図を見抜けない
舞台は黒羊丘の第三日目。
この日、秦国は戦場で優勢に立ち、桓騎の指揮下では戦略的な選択肢が複数存在しました。
このチャンスを活かすためには飛信隊の活躍が期待され、趙軍もこれを警戒します。
しかし、桓騎は「これでどうだ」と言いながら何も行動を起こさず、その日は何事もなく終わりました。
この予期せぬ行動に、さえず軍師の摩論を含む多くの部下が困惑しました。
飛信隊を含む軍内でさえ、桓騎の意図を理解できていなかったのです。
読者にとっても、絶好の機会に何も行動を起こさない桓騎の戦術は、逆に驚異的な冷静さと映るでしょう。
火兎の笛の使用は部下に委ねる
黒羊丘の戦い中、慶舎と岳嬰の指揮する趙軍が、桓騎軍の雷土とゼノウ隊を追い詰め、孤立させます。
樹海地帯で、気づかぬ間に完全包囲された雷土とゼノウ隊は、絶体絶命の危機に瀕します。
しかし、桓騎軍は困難を乗り越えるため、かつての野盗団の知恵を活かします。
雷土がゼノウに向かって「火兎を鳴らせ」と指示。
彼らは、それぞれの腹部に隠していた「笛」を吹き鳴らし、次の瞬間、雷土とゼノウ隊の兵士たちは瞬く間に撤退を開始し、迅速に逃走しました。
この「火兎の笛」は、彼らが野盗時代から使用していたもので、「絶体絶命」や「完全包囲」の状況を示します。
岳嬰はこの異様な退却を目の当たりにし、その光景に驚愕しました。
遠く本陣からこの様子を見ていた桓騎は、皮肉を込めて「結局、あの逃げ方が一番生き残るんだよな」とコメントします。
桓騎のこの態度は、伝統的な「軍」の概念を逆手に取るもので、彼の風変わりな指導スタイルを示しています。
ただし、ここでの問題は「火兎の笛」の使用を、完全に部下に任せていることです。
笛が吹かれることは事実上の「敗北」を意味し、そのため戦の勝敗が桓騎の直接的なコントロールから逸脱する可能性があります。
このように部下に重要な判断を任せるシステムは、その有効性に疑問が残ります。
戦略を練るのが大将しかいない
桓騎軍には確かに戦略を考案し、敏速に対応する能力を持つ部下がいます。
その中でも摩論と黒桜は、桓騎の策に応じて行動することができます。
しかし、彼らが独立して戦略を立て、実行する機会は非常に限られています。
以下の点から、桓騎軍の実態をまとめることができます。
- 戦術は主に「桓騎の策」に依存している
- 理解し、本心を共有している部下は極めて少ない
- 才能ある部下たちも、個々に独自の策を立てるわけではない
- 勝敗に影響を及ぼす「火兎の笛」の使用を部下に任せている
これらの事実は、桓騎が「ワンマンチーム」であることを示しています。
基本的には桓騎が戦略を練り、全てが計画通りに進むと信じています。
考えるべき疑問は、以下の通りです。
・もし、火兎の笛を敵に奪われて勝手に使用されたらどうなるか?
・もし、桓騎の計画が逆手に取られ、敵に対応できない部下が多数存在したらどうなるか?
これらは、桓騎軍の大きな弱点に直結します。
軍の規模がこれだけ大きいにも関わらず、戦略を練るのが大将だけであることは、一種のリスクでもあります。
まとめ
- 桓騎の主な弱点は「実質的なワンマン体制」にある。
- 李牧や慶舎は「桓騎の弱点を見つけた」と言っている。
- 黒羊丘の戦いで桓騎の戦略を完全に理解している部下が少なかった。
- 「火兎の笛」の使用を部下に委ね、逃げ戦術の最終判断を託している。
- 戦術の立案と実行において、桓騎自身以外に精通している者がほとんどおらず、真の意味での「ワンマンチーム」状態。
以上、今回は桓騎の弱点に焦点を当てました。
桓騎は他の将軍たちとは異なり、独自の方法で勝利を追求していますが、その戦略が部下に完全に理解されていないという点があります。
現在は、このスタイルで問題なく機能しているように見えますが、将来的にはこの戦略が障害となる可能性があります。
桓騎が直面するであろうその危機の時、彼がどのような対応を示すのかが非常に興味深いですね。