なぜ伊黒小芭内は口に包帯をするのか?その下に隠された真実とは?

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漫画『鬼滅の刃』の柱たちは、それぞれが特徴的な外観を持っています。

「蛇柱」として知られる伊黒小芭内も、例外ではありません。

目を引く黄緑色と青のオッドアイ、特徴的なボーダー柄の羽織を身に纏い、特に目立つのは口元を覆う包帯です。

 

連載中には伊黒の口元について、様々な憶測が飛び交いました。

・伊黒が鬼に変貌しているのではないか?

・青い彼岸花と何らかの関連があるのではないか?

などという説もありましたが、真相はそれらを遥かに超えていたのです。

この記事では伊黒の包帯の秘密と、伊黒の強さ、甘露寺蜜璃との関係に迫ります。

裂けた口を隠すための包帯の秘密

伊黒の包帯の下には「裂けた口」があります。

この傷は、伊黒が過去に経験した苦難によりもたらされたもので、伊黒の心と顔に深い痕を残しました。

ここでは、その過去と口を隠す理由の詳細を明かします。

 

無惨戦で裂けた口が露になる

伊黒が覆う包帯の下には、恐ろしくも引き裂かれた口が隠されています。

この事実が明らかになったのは、単行本第22巻、第188話「悲痛な恋情」での出来事でした。

 

無惨との戦いの最中で伊黒は、不意打ちを受けて重傷を負った甘露寺を安全な場所に避難させます。

伊黒が戦いへ戻る際、甘露寺が「待って!」と叫ぶものの、伊黒は振り向かず前へ進む決意をします。

その時、伊黒の包帯が解けてしまい、裂けた口が露(あらわ)になりながらも戦いに戻る姿が描かれています。

この瞬間から、伊黒の辛い過去が少しずつ明かされ、読者も伊黒の背負う重い過去を理解する機会を得るのでした。

 

女鬼の命令で口を切り裂かれた

伊黒小芭内が幼少期に育った一族は、下半身が蛇である女鬼によって統治されていました。

伊黒の口を裂くように命令を出したのは、この女鬼です。

女鬼が伊黒に特別な興味を持った理由の一つは、伊黒の瞳がオッドアイだったからです。

 

伊黒が12歳の時、伊黒は座敷牢から連れ出され、女鬼と直接対面する機会を得ます。

その時、女鬼は伊黒を食べるつもりでしたが、「まだ小さい、もっと成長してから」という気まぐれから思いとどまります。

しかし、代わりに「自分に似せる」と宣言し、伊黒の口を裂くよう命じます。

この命令を受けたのは、伊黒の一族の女性たち……つまり家族や親戚の女性たちによるものです。

 

女鬼は、彼女たちが切り裂いた後の生き血を味わい、満足した後、再び伊黒を座敷牢へと送り返しました。

これらの出来事は、伊黒の過去を振り返る回想シーンとして、先に述べた第188話で描かれています。

 

女鬼から脱走し槇寿郎に助けられる

女鬼との直接対面後、伊黒は「このままでは命を落とす」という強迫観念に駆られ、恐怖に震えます。

生き抜くために伊黒は脱走を決意し、盗んだ簪(かんざし)を使って座敷牢の鉄格子を少しずつ削り取り、最終的には脱出に成功します。

(この脱出の過程で、伊黒は後の相棒となる蛇と初めて出会います)

外へ逃れた伊黒ですが女鬼に追いつかれ、絶体絶命の状況に陥ります。

その時、当時の炎柱であった煉獄槇寿郎(煉獄の父)によって救出されます。

 

一族が殺され自己嫌悪に苛まれる

伊黒と、生き残った従姉妹を結びつけようとする槇寿郎の意図に反して、女鬼によって殺された一族の女性たちから、伊黒は罵倒を受けます。

「あんたのせいで全員が殺されたのよ!」

「五十人が死んだ! あんたが殺したんだ! 生贄であるべきだったのに逃げ出したばかりに!」

これらは明らかな逆恨みであるものの、若い伊黒には深い心の傷となりました。

 

その後、伊黒は自己嫌悪に苛(さいな)まれ、

「俺も一族と同じくらい無価値だ」

「自分が逃げることで、一族が危険にさらされることを知っていたにも関わらず逃げた」

と自らを責め続けるようになります。

 

口を隠す理由は描かれていない

この自己嫌悪の感情は、甘露寺への控えめな感情とも繋がり、

「愛する人にこの醜い顔を晒すわけにはいかない」

という思いにも表れています。

伊黒が口の傷跡を包帯で隠す理由は、原作中で明確に描かれていません。

恐らく伊黒が甘露寺への想いと、自らの血と存在を穢(けが)れたものと感じているからではないでしょうか。

 

伊黒の一族の真実と甘露寺との絆

蛇柱として知られる伊黒小芭内の本質は、女性しか生まれない特異な一族の唯一の男子であり、生贄としての運命を背負っていました。

その過酷な運命から逃れてきた伊黒には、女性への根深い嫌悪と恐怖が残っています。

しかし現在の伊黒を見ると、その感情が影を潜めているように感じます。

特に甘露寺への深い愛情があり、彼女に対する思いやりは、伊黒が女性への恐怖を大きく乗り越えていることを示しています。

 

ここからは、伊黒のこうした心境の変化に何が影響したのか?

そして、伊黒の一族の背景についても深く掘り下げていきます。

 

一族は鬼に支配されていた悪党

伊黒小芭内の正体は、女性しか生まれない一族に370年ぶりに誕生した男児です。

この一族は特定の鬼に支配されており、その鬼に殺された人々の所持品を集めて生計を立てていた、自己中心的な悪党たちです。

伊黒は幼少期に従兄妹たちから非難され、その従兄妹たちが、後に一族の遺産を使って豊かな生活を送ったことは、伊黒にとって大きな衝撃でした。

一族が富裕であったことは、座敷牢が存在していたことや、回想シーンで描かれた室内の装飾からも窺えます。

 

女性しか住んでいない女護が島の一族?

この一族に女性しか生まれない理由に関しては、伝説的な背景が考えられます。

具体的には、八丈島の伝承「女護が島(にょごがしま)」にインスピレーションを得た一族ではないかとされています。

「女護が島」とは、女性しか住んでいない島のことで、その対となる「鬼ヶ島」には男性が住んでいました。

両島は年に一度の交流日に集まり、その際に子作りが行われると言われています。

 

『鬼滅の刃』の世界では、特異な体質を持つキャラクターが多く登場します。

例えば主人公の炭治郎は、他人の感情を理解するほどに鋭い嗅覚を持っています。

このことから、伊黒の一族が特殊な体質を持つことも偶然ではなく、遺伝的な特性として存在していた可能性があります。

 

産屋敷邸で甘露寺蜜璃と出会う

こんな過去を持つ伊黒小芭内が、甘露寺蜜璃と初めて出会ったのは、産屋敷邸と呼ばれるお館様の屋敷です。

甘露寺はその時、屋敷に初めて来たばかりで、迷っていたところに伊黒と遭遇します。

この偶然の出会いが、伊黒にとって甘露寺への特別な感情の始まりとなります。

 

伊黒は、一族の女性たちからの仕打ちがトラウマとなっており、女性全般に対して強い嫌悪感と恐怖を持っていました。

鬼殺隊に入隊してからも、女性隊士を見るとその背景や決意を知りながらも、悲しくなってしまうことが多かったです。

しかし甘露寺は、伊黒がこれまで出会ったことのないタイプの女性でした。

甘露寺の素直さ、優しさ、明るさに伊黒は新鮮な驚きを感じ、彼女に心惹かれるようになります。

 

甘露寺と親密になり文通する仲に

その後、伊黒は甘露寺と親しくなり、長い靴下を贈るなどの交流を重ね、文通する仲に発展しました。

しかし、伊黒は自身の血が穢れていると感じていたため、甘露寺に対する想いを告白する勇気は持てずにいます。

伊黒は「自分が甘露寺に告白するのは、もしも死んでから再び人間として生まれ変われたら」という切ない覚悟をしていました。

 

無惨戦で二人とも重傷を負う

しかし、無惨との戦いを経て、伊黒の心には変化が訪れていきます。

無惨の放った衝撃波により、伊黒小芭内の体はひどく損傷します。

戦闘が激化する中、炭治郎が参戦したことで伊黒はさらに致命傷を負います。

繰り返し炭治郎を守り、無惨の足止めに尽力した伊黒でしたが、戦いが終わり夜が明ける頃には、伊黒の生命は危うい状態にありました。

そして伊黒は、同じく無惨との戦いで重傷を負った甘露寺蜜璃のもとへと向かい、彼女へ自らの羽織を掛けて抱き上げます。

 

死の直前に蜜璃から告白される

そこで二人は、最後の会話を交わします。

「伊黒さんと一緒にいる時のご飯が一番美味しいんだよ。伊黒さんがいつも優しい目で見てくれるから」

「伊黒さん、生まれ変わったら、また人間になったら私をお嫁さんにしてくれる?」

「もちろんだ。君が俺を選んでくれるなら、次は絶対に君を幸せにする。今度は死なせない。必ず守る……」

 

死を前にして、甘露寺の涙ながらの告白(プロポーズ)を受け、伊黒はついに自分の気持ちを打ち明けました。

二人はお互いの想いを伝え合いながら、静かにこの世を去ります。

 

その後の「鬼滅の刃」の最終回では、生まれ変わった伊黒と甘露寺が一緒に定食屋を営む様子が描かれ、来世で真の幸せを手に入れたことが示されています。

この物語の結末には、多くの読者が涙を流したことでしょう。

 

蛇柱・伊黒の圧倒的な強さと冷静な戦術

伊黒小芭内の強さは、卓越した戦術と分析力、そして冷静な判断によるものです。

特に伊黒の戦闘スタイルは、無惨との戦いで顕著に表れました。

赫刀を発現させる重要な場面でも、伊黒の能力が大きく貢献します。

ここからは、伊黒の強さについて詳細に掘り下げます。

 

冷静な分析で赫刀を発現させる

無惨との戦闘中、伊黒小芭内は同時に他の戦士の状況も把握し、特に霞柱・時透無一郎の最期の瞬間を冷静に分析していました。

無一郎が赫刀を発現させた時、「無一郎は単に刀を強く握っていただけ」という情報を基に、伊黒は日輪刀の柄を全力で握りしめる戦略を採用します。

この直感的な判断が功を奏し、伊黒は赫刀を発現させることに成功するのです。

 

赫刀は継国縁壱と同じような状態で、赤く発光する日輪刀となり、鬼に対して絶大な効果を発揮します。

柱たちは、痣と赫刀の発現を目指しており、伊黒は縁壱の遺した技術を再現することに成功します。

しかし、その過程で酸欠となり、意識が遠のく大きな代償を払います。

 

伊黒の行動は他の隊員たちによってサポートされ、赫刀を駆使して無惨を追い込むことが可能となりました。

伊黒のこの一連の行動は、伊黒の規格外の力と戦術的な洞察力が、いかに優れているかを示しています。

 

日輪刀は独特な形状をしている

伊黒小芭内の日輪刀は、その形状がフランベルジュと呼ばれる武器に似ています。

フランベルジュはフランスやドイツで発展した剣で、その名の通り「炎」のように波打った刀身が特徴です。

この独特の形状は、戦闘において高い殺傷効果を発揮します。

刀身の波打った形状で肉体を切り裂くので傷が治りにくくなり、重傷を与えやすくする効果があります。

 

ただし伊黒の日輪刀は、単に殺傷能力に優れているだけではありません。

この刀は特に伊黒が使う「蛇の呼吸」の技術と相性が良く、その呼吸法に合わせて設計されています。

波打った刀身は「蛇の呼吸」のしなやかで流れるような太刀筋を支え、その動きを最大限に活かすように作られています。

この日輪刀を製作したのは、刀鍛冶の里の名工、鉄地河原鉄珍の息子である願鉄です。

願鉄の手によって生み出された伊黒の日輪刀は、その外見だけでなく、機能性においても「蛇柱」の戦闘スタイルを完璧に補完しています。

 

蛇の呼吸は流れるような動きが特徴

「水の呼吸」を基に派生した「蛇の呼吸」は、その流れるような動きと独特の太刀筋で知られています。

狭い隙間を利用して敵に迫り、予測不能な斬撃を放つことができる「うねる太刀筋」が特徴です。

この技法は、伊黒小芭内が無惨の攻撃を巧みに避けつつ、反撃する際に非常に有効でした。

伊黒の戦闘スタイルは、その柔軟な関節と技巧により、力に頼らない戦い方を可能にしています。

これは蟲柱・胡蝶しのぶと同様に腕力に劣るため、技巧を駆使して戦闘力を高めています。

「蛇の呼吸」には以下の五つの型があります。

 

壱ノ型 委蛇斬り(いだぎり)

相手との距離を急速に詰め、予測不能な軌道で斬りつけます。

 

弐ノ型 狭頭の毒牙(きょうずのどくが)

激しい闘気を込めて斬り下ろし、敵の死角を狙う技です。

 

参ノ型 塒締め(とぐろじめ)

縦横無尽に斬撃を繰り出し、蛇が獲物を締め上げるような動きで敵を制圧します。

 

肆ノ型 頸蛇双生(けいじゃそうせい)

敵を左右両方から挟み込むような軌道で斬りつける技で、避けるのが非常に難しいです。

 

伍ノ型 蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

敵とのすれ違いざまに広範囲に渡って斬りつけ、複数の敵を一度に討ち取ることができる技です。

 

これらの技は、伊黒小芭内が敵との戦いで巧みに使い分けることで、その真価を発揮します。

 

まとめ:伊黒は最期に告白でき願いがかなった

最後にもう一度、要点をまとめます。

・伊黒小芭内は、女性しか生まれない一族に370年ぶりに生まれた唯一の男子で、生贄としての運命を背負っていた。

・伊黒が口を隠す理由は、過去に女鬼によって口が切り裂かれたためであり、それが自らの血が穢れていると感じている証拠だから。

・伊黒は「蛇の呼吸」という独特の技を使いこなす剣士で、その変則的な斬撃が戦闘で大きな特徴となっている。

 

伊黒の過去が明らかになった瞬間、多くのファンは言葉を失いました。

伊黒の本心や背景が明らかになるまで、伊黒には多くの謎があったからです。

それが明らかになると、伊黒に死なないで欲しいと願わずにはいられないほど、伊黒への想いが強くなりました。

 

伊黒が炭治郎を何度も守る姿には、ファンとしてはヒヤヒヤするばかりでした。

無惨との戦いの後、伊黒は命を落としてしまいますが、その最期に甘露寺蜜璃との間に交わされた告白は、伊黒の想いが叶った瞬間でもあります。

それが幸せな結末と言いたいところですが、伊黒の死はやはり悲しい出来事です。

最終的には、生まれ変わりの世界で伊黒が幸せであることを願うばかりです。