スパイ教室の初版を読むと、クラウスがギードの裏切りをどう受け入れたのか、その心情がすぐには掴めませんでした。
しかし、クラウスとギードの関係性を深掘りする中で、二人の間には”愛情”と呼べる強い絆が存在していたことが伺えます。
スパイとしての師弟であり、さながら家族のようなクラウスとギードの絆について、詳しく解説していきます!
ギードの人物像やクラウスとの関係性
スパイ教室におけるギードの人物評価は、どのようになっているのでしょうか?
これまでの経緯や、クラウスとの関係も気になります。
スパイ組織「焔」のNo.2
ギードはディン共和国のスパイ組織「焔(ほむら)」で、No.2の地位にいました。
チームのリーダーは「紅炉(こうろ)」のフェロニカでありますが、戦闘力で見ると「炬光(きょこう)」のギードが最も優れており、その名前は世界中に知れ渡っています。
クラウスの救世主であり恩人
ギードは幼年期のクラウスを、貧民街から救出した恩人です。
クラウス自身が述べる通り、「今の僕がいるのは全てアナタのおかげです」と。
孤児だったクラウスを拾い上げ、スパイとして育成したのはギードでした。
孤児グループから孤立し、孤独な末路を辿るはずだったクラウスを、ギードが救ったのです。
「クラウス」という名前もギードが名付け、温かいベッド、食事、お風呂、そして家族のような仲間も、全てギードのおかげで得られたものです。
クラウスの格闘技の師匠でもある
世界で最も強いスパイと称されるギードは格闘術の達人で、「焔」でのクラウスに直接技を伝えました。
何度対戦してもギードには勝てなかったクラウスですが、ギードはその後亡くなります。
クラウスが常に目指していた師匠であり、スパイとしての生き方を教え込んだ尊敬すべき先輩でした。
クラウスの兄貴分で家族のような存在
ギードはクラウスにとって仕事の師匠であるだけでなく、家族のような存在でもありました。
任務から戻り、陽炎パレスのソファでうたた寝するクラウスを見て、ギードはその無防備さに呆れていました。
口ではあれこれ言いますが、クラウスの好物であるチーズケーキを買ってくるなど、ギードは面倒見の良い、年上の兄のような存在です。
クラウス自身も「焔」を、家族のように感じていたと語っています。
クラウスはギードの裏切りを許す
クラウスにとってギードを失うことは、考えたくないほど重要なことでした。
だからこそ裏切りを許して、再び共に手を組もうと提案したのです。
「師匠、二人で再び『焔』を始めましょう」
クラウスにとって、「焔」は家族同様であり、陽炎パレスでの家族のようなひとときを取り戻したい、という思いからの言葉です。
何者かの銃撃で命を落とす
原作では、クラウスの提案に当初は戸惑いつつも、「焔」を裏切った事情を語り始めたギード。
しかし、「蛇」の関与を明かした直後、ギードは何者かによる銃撃で命を落としました。
アニメ版では、その言葉を絞り出すようにして、亡くなったのですね…。
「今度こそ、守り抜け」
クラウスを銃撃から守るために命を落としたギードの行動は、まさに兄貴分らしいと感じさせ、悲しみを誘いました。
クラウスが持ち帰った、唯一の箱の中身が何であるか、非常に気になります。
ギードが「焔」を裏切った動機を解明
スパイ教室におけるギードの裏切りとは、具体的にどのような行為なのでしょうか?
暁闇計画でフェロニカと対立
ギードはフェロニカが推進する「暁闇計画ノスタルジアプロジェクト」について、彼女と意見が対立しました。
これが発端となり、『暁闇計画』を止めるべきだという信念のもと、「焔」を裏切る決断をします。
この計画の具体的な内容は明らかになっていませんが、ギードや白蜘蛛にとっては、強者がさらに力を増し、弱者が生きづらくなる世界の到来を危惧しているようです。
原作の9巻から始まる新章で、この計画についての詳細が徐々に解明されることでしょう。
「焔」を裏切りゲルデを暗殺した
「蛇」の「蒼蠅(あおばえ)」となったギードは、「焔」のNo.3「炮烙(ほうらく)」のゲルデを暗殺します。
ギードは、ガルガド帝国が『暁闇計画』ノスタルジアプロジェクトを阻止しようとしていることを知り、「蛇」のスパイチームに加わりました。
ゲルデを直接倒すだけでなく、「焔」の情報を提供し、クラウスを除くチームメンバー全員の滅亡に一役買います。
この行動により「焔」は壊滅し、新たな組織「灯」が結成されたのです。
クラウスは暁闇計画を知らない
『暁闇計画』については、フェロニカ、ギード、ゲルデはその詳細を知っていますが、クラウスは計画の存在さえも、まだ認識していません。
原作では、この計画に関する具体的な内容は、読者にも詳しく明かされていません。
フェロニカにとっては「次の世界大戦への備え」としての意味合いがあり、ギードから見れば「弱者が見捨てられる計画」として捉えられています。
具体的な計画内容については、多くの読者が興味を持っているテーマでしょう。
クラウスの成長を恐れ暗殺を企てる
ギードは『暁闇計画』の存在を知らない、クラウスを暗殺しようと企てました。
その背景には、クラウスが世界最強のスパイに成長し、「蛇」の活動を阻害する可能性があると判断されたためです。
「灯」の拠点であるディン共和国と「蛇」のガルガド帝国は隣国であり、過去の世界大戦では敵対した歴史があります。
戦後もその敵対関係は続いており、「灯」の主な任務は「蛇」の活動を妨げることになっています。
クラウスが世界最強のスパイとなれば、「蛇」はその目的を達成することが困難になるります。
そこでギードは、弟子であるクラウスを暗殺しようとしました。
奈落人形のサンプルを餌にして「灯」をおびき出し、少女たちを苦しめることで、仲間を見捨てられないクラウスが、確実に現れると予測しての行動です。
過去にもクラウスを暗殺しようとした
ただし、これは2回目の暗殺計画です。
1回目の暗殺計画は作品の冒頭で実行され、ギードがクラウスを「自分自身なら断るような、犬死にするような過酷な任務」へと送り出しました。
このような罠を設けなければ、クラウスを殺すことができない、とギードは考えていましたが、予想に反してクラウスは任務から生き延びます。
出発の際、ギードが「いってこい」と声をかけたのは、これまで黙って送り出すことしかなかったのに対し、ある意味で家族への最後の別れの挨拶だったのかもしれませんね…。
まとめ:スパイの家族では裏切りは許される
スパイ教室におけるギードの裏切りは、「焔」の仲間であったゲルダを暗殺した行為を指します。
それに留まらず、ギードはクラウスの命も狙いました。
しかし、クラウスはギードの卑劣な裏切りを許し、二人で「焔」を再始動することを提案しました。
この決断の背景には、ギードがかつてクラウスを貧民街から救い出した恩人であり、スパイとしての師匠でもあったため、クラウスはギードを深く信頼し尊敬していたからです。
さらにクラウスにとってギードは、「焔」という家族のような存在の大切な一員でした。
スパイたちが形成する家族では、一度や二度の裏切りは許されることもある、とクラウスは考えていたかもしれません。
もし可能であれば、再び「焔」として活躍するクラウスとギードを見たい。
そして、家族として一緒にいられるようにと、私は願っています。