鬼滅の刃では「透き通る世界」という領域(概念)が紹介されています。
この領域は、高度に訓練された剣士だけが体験可能な究極の境地です。
その境地に達すれば、戦いで圧倒的な優位を得ることができます。
ここでは「鬼滅の刃」における、透き通る世界に焦点を当てて解説します。
↓この記事で明らかになる内容↓
・透き通る世界の定義と効果
・この能力を持つ者は誰か
・痣(あざ)者との関係性
透き通る世界の効果と必要な条件
「透き通る世界」とは、どのような状態や効果をさすのでしょうか?
この状態に至るのは偶然なのか?
それとも意図的に達成できるのか?
依然として、その秘密は解明されていません。
以下、現在分かっていることに考察を交えながら、詳しく解説します。
相手の体が透明に見えるようになる
透き通る世界とは、戦いの中で相手の体が透明に見える現象です。
相手の身体が透けて見えることにより、どの程度訓練された強者か?
また、急所でもある心臓や脳などの微妙な位置が、明確にわかるようになります。
自分の時間の感覚がスローになる
また、透き通る世界では相手の動きが、スローモーションで感じられます。
この状態でなければ、避けられなかった致命的な一撃もかわすことができます。
さらに本来は、相手に回避されるはずの攻撃を当てることが可能です。
これは身体能力が直接向上したわけではなく、時間の感覚がスローになるためです。
つまり、相手が1秒で動くと感じている間にこちらは0.5秒と感じ、残りの0.5秒を利用して攻撃や回避を行うわけです。
相手からすれば、まるで超速度で動かれたと錯覚するでしょう。
したがって透き通る世界の真意は、ただ相手が透明に見えるだけでなく、自分だけがスローな時間の中で自由に動ける状態、ということです。
到達の条件:全ての無駄を削ぎ落とす
炭治郎の父、炭十郎が息子に透き通る世界の秘訣を教えるシーンが、記憶に新しいです。
以下、透き通る世界に入る条件を詳述します。
●重要なのは、適切な呼吸法と動作の精度
●必要最少限の行動で、最大限の効果を引き出す
徐々に頭がクリアになっていきます。
↓
●初期段階では動きや感覚を一つひとつ覚え、それを極める必要がある
●五感を研ぎ澄まし、自身の体の細部まで意識する
●多くを学んだ後は、不要なものを取り除く作業に移行
必要な要素だけを残すことに専念します。
目を閉じて集中する行動は、必要なものだけを選び取る行為と同じです。
↓
●これを繰り返すことで、体内の血管や筋肉の開閉を迅速に行えるようになる
●頭がクリアになると、透き通る世界が視界に現れる
この領域は苦しみ抜いた者だけが、到達できる特別な場です。
口で説明するのは簡単ですが、実際にこの状態に達する者はほんの一部です。
透き通る世界に入れるのは、熟練のプロの中でも特に練達した者たちだけなのです。
現実世界にもある無我の境地
これは「鬼滅の刃」の話ではなく、現実世界での話です。
トップクラスのスポーツ選手たちが、しばしば言及する「ゾーン」という状態があります。
「ゾーンに入る」とは、プレイ中の集中力や緊張がピークに達し、時間が停止したかのように感じる体験を指します。
例えば、ホームランバッターが投げられたボールを遅く、あるいは停止して見えるように感じることがあります。
自設した目標に向かって、肉体的なアクションだけでなく精神的な集中も要求され、極限状態を維持しながらプレイすることで、体感時間が変化します。
「自分は通常どおりに動いているのに、実際には時間があまり経過していなかった」という感覚です。
これは予想以上の速さで、行動できたということを示しています。
しかし、この状態に達するのは、センスや経験、集中力、緊張感など多くの要因が組み合わさった結果であり、それが可能な人は少ないです。
この現象はスポーツ選手だけでなく、ミュージシャンやスティーブ・ジョブズのような著名人も経験しています。
話が少し逸れましたが、このゾーンという現象は「鬼滅の刃」における透き通る世界に似ていると考えられます。
この無我の境地に到達することは、柱でさえ困難であると言われているのです。
透き通る世界に入ることができる剣士
物語中では、多くのキャラクターが戦闘中に「透き通る世界」を体験しています。
ここからは、透き通る世界に至ったことがある、剣士たちを紹介します。
継国縁壱(始まりの呼吸の使い手)
鬼舞辻無惨を追い込んだ伝説の剣士、継国縁壱(つぎくに よりいち)。
彼は黒死牟(こくしぼう)の弟でもあります。
縁壱は無惨との戦いの中で、無惨が「心臓が七つ」「脳が五つ」持っていることを透き通る世界を通じて見抜きました。
この深い理解からヒノカミ神楽が生まれたのです。
彼のように熟練した剣士は、意識することなく自由に透き通る世界に入ることができます。
竈門炭十郎(炭治郎の父)
炭十郎の唯一の戦いシーンは、森に現れた巨大な人食い熊を退治する場面です。
彼は熊の攻撃をジャンプでかわし、一瞬のうちに2度斬りつけて熊の首を落としました。
その直前、炭十郎は炭治郎に透き通る世界について教えており、これは見取り稽古の一環でした。
戦いの前後で、炭十郎の体から感じる匂いが変わらなかったことから、彼が焦りや怒りなど全ての無駄を削ぎ落とし、透き通る世界に入っていたことがうかがえます。
上弦の壱・黒死牟(継国厳勝)
無限城での戦いでは、霞柱の時透無一郎、不死川玄弥、風柱の不死川実弥を圧倒し、勝利が目前となった瞬間、岩柱・悲鳴嶼行冥(ひめじま ぎょうめい)が現れます。
黒死牟が悲鳴嶼を見た際に放った、
「素晴らしい、極限まで練り上げられた肉体の完成形」
というセリフは、彼が透き通る世界に達していることを示しています。
黒死牟は縁壱の兄であり、人間時代から剣術の極致を目指し続けてきたため、透き通る世界の至高の領域に到達していたのです。
岩柱・悲鳴嶼行冥
同じ戦闘シーンで、苦戦を強いられていた悲鳴嶼が、透き通る世界への一瞬の突入を果たします。
この時、黒死牟の身体が透けて見え始めました。
悲鳴嶼は、鬼と同等の成長速度を持ち、至高の領域に踏み込むことで透き通る世界を体験するに至ります。
この能力により、悲鳴嶼の攻撃が黒死牟に直撃するようになりました。
蛇柱・伊黒小芭内
無限城の外での無惨との戦いでは、柱たちが集結しても無惨を倒すことができませんでした。
その中で、悲鳴嶼は伊黒に透き通る世界について教え、「無惨を注視することで、その身体が透けて見えるか」と問います。
伊黒はほんの一瞬、無惨の身体が透けて見える体験をします。
まだ完全には透き通る世界には至っていませんが、その瞬間が伊黒の初めての足掛かりとなりました。
霞柱・時透無一郎
悲鳴嶼行冥と不死川実弥と共に、黒死牟に挑んだ時透無一郎。
彼らは黒死牟の激しい攻撃をかいくぐりながら、戦略的に接近する必要がありました。
二人の援護を受けつつ、無一郎は重傷を負いながらも、黒死牟の腹部に剣を突き刺すことに成功します。
黒死牟は自分の攻撃を躱(かわ)されたことに驚愕し、「無一郎も私と同じ世界を見ているのか?」と思案します。
実際に無一郎の視界には、透明な姿の黒死牟が映っていました。
竈門炭治郎
無限城で、上弦の参の猗窩座(あかざ)との戦いに臨む炭治郎。
彼は水柱の冨岡義勇と協力して、猗窩座に挑みます。
炭治郎は、致命的な猗窩座の攻撃を回避するために全神経を集中し、無駄を省いた一瞬の間に透き通る世界を垣間見て攻撃を躱します。
その瞬間、父・炭十郎の教えを思い出し、透き通る世界について深く考察します。
猗窩座は通常、敵の殺気を感じ取って動く戦闘スタイルをとります。
しかし、炭治郎が殺気を消失させたことで、炭治郎はまるで無生物のように猗窩座に察知されずに接近。
最終的に炭治郎は、猗窩座の首を気付かれることなく斬り落とすことに成功します。
痣持ちだけが体験することができる
透き通る世界に一歩踏み込める鬼殺隊の剣士は、皆、痣(あざ)が発現しています。
この現象は、縁壱、炭十郎、黒死牟を含む痣持ちに限られていることが多いです。
「透き通る世界=痣持ち」という関連性が推測されます。
特徴は体温39度以上、心拍数200以上
さらに、痣持ちには体温39度以上、心拍数200以上という特徴があります。
柱や炭治郎たちは、これらの条件を満たすことで、透き通る世界へと入ることが可能でした。
縁壱や黒死牟、炭十郎のような達人たちは、激しく動くことなく自然に痣を発現させています。
痣の発現とその熟練度(極限の集中力と緊張を保つ能力)は、透き通る世界へのアクセスを可能にする鍵です。
まとめ:無惨は透き通る世界へ入っていない
透き通る世界の本質は、至高の境地、無我の状態へ到達した者だけが体験できる現象です。
この領域への入り方には、すべてを極めた後に不要なものを削ぎ落とすという条件があります。
透き通る世界へと足を踏み入れることができれば、どんな強敵であっても戦いで有利に立つことができます。
透き通る世界への入場が描かれていない無惨については、彼が武術を極めたわけではないため、その領域に到達していないと考えられます。
無惨が透き通る世界に入ることができれば、彼に勝つことは極めて困難でしょう。