「スパイ教室」の多くのチームの中でも、特に目立つ存在感を放つのが「蛇」です。
主役の「灯」をも凌ぐこのチームは、世界各国のスパイ界のエリートたちが一堂に会して形成されました。
彼らはある共通の目的を持ち、その達成のために集まったのです。
本記事では「蛇」の概要と、そのメンバーたち。
そして彼らの能力や強さ。
さらに、不幸にも命を落とした者たちを詳しく解説します。
暁闇計画の中断を目的として結成された
『スパイ教室』における「蛇」とは、どのような存在なのか?
第9巻までを踏まえ、その詳細な特徴と目的について解説します。
実は『スパイ教室』に登場する「蛇」は、『暁闇計画ノスタルジアプロジェクト』を中断させるために、ガルガド帝国によって結成された特別なスパイチームです。
このチームは、世界各国の著名なスパイ組織から選ばれたメンバーで構成されており、彼らは高度なスキルと独自の能力を持ち寄っています。
「蛇」チームの主要メンバーの詳細
「蛇」のチームは、ガルガド帝国の指導のもと、複数の国から集まった熟練のスパイたちで構成されています。
以下に主要メンバーと、その特徴や運命を説明します。
・ボス(名前不詳)は歪んだ声で話す謎多き人物です。
「蛇」の形成と運営を背後で支えています。
・藍蝗(あいいなご)はくたびれた中年男で、白蜘蛛を「蛇」に引き入れたキーパーソンです。
経験と知識がチームに大きな影響を与えています。
・白蜘蛛(しろぐも)ことクリストハルトは、マッシュルームヘアが特徴の男性で、リリィの毒により動けなくなった末に自決しました。
・銀蟬(ぎんぜみ)は白蜘蛛と同年代の女性で、クラウスを暗殺しようとしましたが、失敗し返り討ちにあって死亡しました。
・紫蟻(むらさきあり)は優しい雰囲気の男性で、刑務所での脱走劇の最中に不幸な最期を遂げました。
死因は逃亡中に何者かによって命を奪われ、遺体で発見されました。
・蒼蠅(あおばえ)は元々「焔(ほむら)」の炬光(きょこう)として知られるギードで、クラウスを守るために白蜘蛛に撃たれ死亡しました。
・黒蟷螂(くろかまきり)はその異形の容姿、特に右腕が三本あることで知られ、後に「蛇」から「神樹の墓守ケルビム」へと寝返ります。
・翠蝶(みどりちょう)のリュールスは、肩から肘にかけて目立つ傷がある少女で、最終的には呪師ネイサンに撃たれて死亡しました。
彼女の正体は、CIMの最高機関「ハイド」の魔術師ミレナです。
これらのメンバーは「蛇」の目的を遂行するために集められ、彼らの運命はスパイ教室の物語の中で重要な役割を果たしています。
一時的な「蛇」チームのメンバー
「蛇」には常設メンバーの他に、特定の状況下で一時的に加わったメンバーもいます。
ここでは、そのような一時的なメンバーを紹介します。
・操り師(あやつりし)として知られるアメリは、CIMの防諜専門部隊『べリアス』のボスです。
彼女は白蜘蛛に側頭部を撃たれ、その傷が致命的となり死亡しました。
彼女の死は「蛇」内部の複雑な力関係と密接に関連しています。
・緋蛟(あかみずち)として一時的に「蛇」に加わったモニカは、本来は「灯(ともしび)」のメンバーで氷刃(ひょうじん)として活動しています。
モニカはリリィの事情に関連して翠蝶(みどりちょう)から脅迫を受け、「蛇」への一時的な加入を余儀なくされました。
この出来事はモニカの忠誠心と、複雑な感情のバランスを示しています。
蛇メンバーの能力や過去、死因の詳細
スパイ教室の「蛇」チームのメンバーは、独特な能力や過去の戦歴。
そして彼らの死因まで、多岐にわたる背景を持っています。
ここからは、これらの要素を詳しく解説し、彼らの物語に深く潜入します。
ボスは任務を指揮監督する
「蛇」の創設者であり指導者のボスは、その特徴的な歪んだ声で知られています。
小説内でボスの台詞は常に斜体で表現され、その独特な話し方がボスの神秘的な雰囲気を強調しています。
ボスは「蛇」の各任務を指揮し、計画の進行を監督しています。
任務の失敗を避けるために、現在「灯」に取引を提案する計画を進めており、これがボスの戦略的な思考を示しています。
藍蝗は情報や資源を調達する
藍蝗(あいいなご)は「蛇」の創設初期からの重要なメンバーで、くたびれた雰囲気の中年男です。
藍蝗はガルガド帝国の防衛省に頻繁に出入りしており、その立場を利用して様々な情報や資源を「蛇」のために調達しています。
特に《白蜘蛛》をスカウトし、彼に他のメンバーの勧誘を任せることで、「蛇」の基盤を固めました。
また、藍蝗は「焔」の元メンバーである煤煙(ばいえん)のルーカスと、灼骨(しゃっこつ)のヴィレの暗殺に直接関与しており、その行動は「蛇」の強硬な手法を象徴しています。
白蜘蛛はメンバーをスカウトする
マッシュルームヘアーが特徴の男性で、ギードやダリン皇太子、CIMのアメリを撃った犯人です。
かつてガルガド帝国陸軍の将校でしたが、騒動を起こして退役。
その後は「首都最弱のトラブルバスター」として小金を稼いでいました。
公園で寝ていた時に藍蝗にスカウトされ、『暁闇計画』を阻止するため初期の「蛇」に参加。
銀蟬、紫蟻、黒蟷螂、翠蝶を勧誘し「蛇」を作り上げました。
『暁闇計画』を推し進める紅炉(こうろ)だけでなく、「焔(ほむら)」の抹殺を計画し他のメンバーに実行させます。
白蜘蛛は、ガルガド帝国陸軍の将校としてのキャリアを経て、「蛇」の主要な戦略家になりました。
白蜘蛛の手腕は、多岐にわたる陰謀と複雑な計画を巧みに操ることにあります。
特にCIMのアメリを「蛇」に寝返らせ、列車内でクラウスを追いつめる計画は、その狡猾さを象徴しています。
白蜘蛛の計画では「ベリアス」と「灯」を争わせ、「灯」から裏切者を生み出し、最終的にはクラウスと殺し合いをさせることを目論んでいました。
しかし、計画は完遂に至らず、リリィの毒泡によって行動不能となった後、自ら銃で自決します。
この死により、白蜘蛛の野望は突如として終焉を迎えました。
一方で、小説家の代筆として手がけた作品は『世紀の駄文』と酷評されましたが、白蜘蛛が自ら作り上げた組織に対する深い愛情が感じられるもので、ボスからはその点で評価されています。
このことからも、白蜘蛛の人物像が複雑に交錯する、内面と外面のギャップが垣間見えます。
紫蟻は諜報機関出身のDV男
白蜘蛛にスカウトされ、「蛇」の一員となった紫蟻(むらさきあり)は、ライラット王国の諜報機関「創世軍」出身です。
紫蟻は紅炉の殺害に関与し、その事件で注目を集めました。
外見は幼児学校の教員や、看護師に似合うような優しい風貌をしていますが、その反面、女性に対して暴力を振るうなどの問題行動を持っており、白蜘蛛が2年かけてスカウトした複雑な人物です。
紫蟻は恐怖を利用して「働き蟻」と呼ばれる手下を支配し、「王様」として君臨します。
紫蟻はミータリオで働き蟻を使って大量のスパイを殺害し、将軍蟻9匹を率いてクラウスの命を狙いました。
しかし、彼らはクラウスに瞬く間に制され、紫蟻は生け捕りにされます。
その後、諜報機関「JJJ」に身柄を引き渡された紫蟻は、両足を砕かれる重傷を負いながらも、謎の手引きで脱走。
しかし、脱走から2ヶ月後に紫蟻の遺体が発見され、その表情は不思議と微笑んでいたと報告されています。
この事実は紫蟻の最後の瞬間に何が起こったのか?・・・多くの謎を残しています。
蒼蠅は絆と裏切りの人生
蒼蠅(あおばえ)ことギードは、元「焔」の炬光(きょこう)であり、その裏切りがギードの人生に決定的な変化をもたらしました。
ギードのコードネーム「蒼蠅」は、「蛇」における新たな役割を象徴しています。
ギードは最終的に「蛇」を裏切り、白蜘蛛が恐怖に怯えて命乞いする様子を前にして、殺害することを思い留まります。
その代わりに「蛇」に関する全情報を強要し、「暁闇計画」の全貌を明らかにしました。
ギードは紅炉のフェロニカと「暁闇計画」を巡る対立後、「蛇」への参加を決め、「焔」に関する情報を提供し、クラウスを除く他のメンバーの殺害に間接的に貢献しましす。
しかし、その行動は結局、自身を破滅へと導きます。
最後には「灯」との戦いで敗れ、クラウスを白蜘蛛の狙撃から守るために自らの命を犠牲にし、その場で死亡します。
ギードの死は、かつての仲間との絆と裏切りの重みを象徴するものであり、ギードの複雑な人生を締めくくる出来事でした。
黒蟷螂は右腕が三本ある斧使い
黒蟷螂(くろかまきり)は右腕が三本あることで知られ、そのうちの一本で車轍斧を振り回すことが特徴です。
黒蟷螂は、かつて「焔」の煽惑(せんわく)のハイジを殺害し、この行動が黒蟷螂の冷酷さを際立たせています。
元々は、ムザイア合衆国の諜報機関「JJJ」で、窮奇(きゅうき)として活動していた黒蟷螂。
義手への異常な執着と、英雄になりたいという願望を持っていました。
これらの特性を見抜いた、白蜘蛛によって「蛇」にスカウトされ、黒蟷螂の転身が始まります。
黒蟷螂はフェンド連邦で浮雲(うきぐも)のランと対戦し、その後、『暁闇計画』を支援する秘密組織『神樹の墓守ケルビム』との接触を持ちます。
この出来事が黒蟷螂の「蛇」への忠誠を揺るがし、最終的にはこの新たな組織への可能性のある寝返りへと繋がります。
黒蟷螂は頻繁に引退を示唆するものの、最後には「引退が遠ざかる」と述べ、その複雑な心境と未来への不確かな姿勢を示しています。
翠蝶は最年少メンバーの少女
翠蝶(みどりちょう)は「蛇」の中でも最年少のメンバーであり、ダンスを得意とする少女。
翠蝶の両肩にある大きな目立つ傷は、「焔」の炮烙(ほうらく)ゲルデによってつけられたものです。
翠蝶の真の身分は、フェンド連邦CIMの最高機関ハイドの一員であり「魔術師」として知られるミレナです。
本名は第三王女ハトーフェの次女、リュールスです。
翠蝶は自らの地位を利用して、CIMのハイド直属の防諜部隊ベリアスに「鳳(おおとり)」の抹殺を指示します。
また、リリィを利用してモニカを裏切らせ、「蛇」へと引き入れる策略に成功します。
しかし、その後の展開ではモニカに敗れ、CIMの牢獄に投獄されることになります。
その牢獄からは、「蛇」に寝返ったCIMのアメリによって一度は脱出しますが、最終的にはハイドのメンバーである呪師(のろいし)ネイサンに撃たれて死亡し、魔術師ミレナとしての存在は完全に抹消されました。
銀蟬は秘密任務に従事する
銀蟬(ぎんぜみ)は、白蜘蛛と同年代の女性で、元々はビュマル王国の諜報機関「カース」で飼育員として活動していました。
銀蟬は組織に対する不信感を抱えており、その中で白蜘蛛と出会い、「蛇」への参加を決意します。
「蛇」において銀蟬は多くの秘密任務に従事しましたが、「焔」のメンバーである煤煙のルーカスとの対決で敗れ、その戦いで命を落としました。
銀蟬の死は、「蛇」の中でも大きな痛手となり、チームの運命に影響を及ぼすこととなります。
「蛇」の一時的なメンバーたちの詳細
スパイ教室の「蛇」には、固定メンバー以外にも多くの一時的なメンバーが関わっています。
それらの一時的なメンバーたちについて詳しく説明し、彼らが「蛇」の活動にどのように関与し、どのような影響を与えたのかを掘り下げます。
アメリはCIMから「蛇」に参加
操り師として知られるアメリは、元々フェンド連邦CIMの防諜部隊「ベリアス」のボスでした。
アメリは直属の上司である魔術師ミレナ(実際には翠蝶として内密に活動)から、「鳳(おおとり)」の抹殺を指揮する任務を受け、その過程で多くの疑問を抱くようになります。
この疑問から、翠蝶がなぜ「蛇」に参加したのかを白蜘蛛に尋ねることがきっかけで、アメリ自身も「蛇」へと移行し、『暁闇計画』の阻止に協力する決意を固めました。
しかし、列車内でクラウスを追い詰める最中、アメリがクラウスに説得される可能性を恐れた白蜘蛛によって側頭部を撃たれ、致命傷を負います。
アメリは死ぬ間際、床に横たわりながらもクラウスに向けて最後の銃撃を行い、そのまま命を落としました。
この行動はアメリの複雑な立場と、内心の葛藤を浮き彫りにしました。
モニカは2重スパイとして活動
モニカはリリィへの恋心が翠蝶に知られ、「蛇」への協力を強いられるという厳しい状況に直面します。
モニカには、リリィをスケープゴート(身代わり)として、使われることを避けるための選択しか残されていませんでした。
このため、翠蝶の要求に応じて「灯」を襲い、緋蛟となる道を歩むことを余儀なくされます。
しかし、モニカはティアの特殊能力である「目を合わせた相手の思考を読む能力」を利用して「蛇」を欺き、自身を犯人として新聞に報道させることでリリィを守ります。
この巧妙な戦略によって、モニカはリリィのスケープゴート化を阻止しました。
その後、二重スパイであることが露見し、ゲルダの隠れ家であるアパートに逃れます。
が、黒蟷螂によって建物が破壊され放火されたため、モニカは死亡したと思われていました。
しかし、モニカはその後、地下室から生存していることが発見され、密かに灰燼(かいじん)として「灯」に復帰しています。
この一連の出来事は、モニカの決断力と機転の良さを示しており、モニカの強さと複雑な立場を浮き彫りにしています。
まとめ
スパイ教室の「蛇」は、国際的なスパイチームから集められた総力を誇るチームであり、『暁闇計画』の阻止がその主な目的です。
この記事では、ボスを含む各メンバーの能力、強さ、そして彼らの最終的な運命について解説しました。
元々は、多くの国々から選ばれた精鋭たちで構成されていた「蛇」ですが、物語が進むにつれてそのメンバーは次々と命を落とし、9巻の時点で生き残っているのはボスと藍蝗のみ、という悲劇的な状況になっています。
彼らの物語は、スパイ教室シリーズの中でも特にドラマティックな展開を見せており、その背後にある動機や心理が深く掘り下げられています。
「スパイ教室」は各キャラクターが持つ、独自の背景と深いストーリーラインが魅力的ですね。
彼らの過去や動機、そして彼らがどのようにしてその現在の位置に至ったのかを知ることで、物語の理解が深まり、さらに楽しむことができます。