スパイ教室で「屍」として知られるローランドが、「焔」のボス、紅炉の死亡場面に立ち会っていた事実は意外ですよね?
さらにローランドは、後に「蛇」と「灯」の間で行われた戦闘において、「灯」のメンバーの味方として加わり、共に戦う姿が描かれます。
当初は、すぐに退場すると思っていたローランド。
ですが、その考えを改めざるを得なくなりました。
今回はスパイ教室で、意外と重要な役割を果たすガルガド帝国のスパイ、ローランドのキャラクター性と、その後の結末について深掘りしていきます。
謎多きローランドの人物像と正体
スパイ教室のローランドとは、一体どんな人物なのでしょうか?
その人物像に迫ります。
コードネームは「潭水」
ローランドはガルガド帝国から派遣されたスパイです。
ローランドの本来のコードネームは「潭水(たんすい)」。
「潭水」は、沼の底に溜まる淀んだ水を意味し、その陰鬱な外見と名前が見事に一致していることが、皮肉ながらも笑える一面です。
冷酷で罪悪感を感じない性格
ローランドは政治家の暗殺任務を受けた際、
「単独の暗殺だとスパイ活動が疑われるため、無関係の人々を20人ほど巻き込んで殺害した」
という、冷酷かつ罪悪感の希薄な性格を持つ男です。
アニメ11話と小説2巻で初登場
ローランドはアニメの第11話、および小説の第2巻で初めて登場します。
ガルガド帝国の工作員であるオリヴィアが、ウーヴェ・アッフェルの屋敷にメイドとして潜入している際、ローランドはオリヴィアの師匠であり恋人として紹介されます。
ローランドはオリヴィアにクラウスの写真を見せ、
「この男は燎火(かがりび)と呼ばれている。男が現れたらすぐに知らせるように」
と指示を与えます。
また、ローランドはオリヴィアに、ガルガド帝国の工芸品であるブローチを渡しました。
紫蟻の「愛犬」として活動する
紫蟻が精神的に支配した人間は「働き蟻」と称されますが、ローランドはその中でも特に紫蟻のお気に入りの「愛犬」として活動しています。
ローランドは世界中を任務で飛び回り、その過程でアネットの母、マティルダのもとに現れたり、オリヴィアと時間を過ごしたりしています。
かつてはミータリオ大学医学部の学生で、「神童」とまで呼ばれるほどの優秀な才能を持っていたほど。
クリケット部のキャプテンを務めていたこともあり、女性からの人気も高かったです。
ディン共和国ではコードネーム「屍」
ローランドはディン共和国のスパイネットワーク内で、「屍」というコードネームで知られています。
ローランドの特徴的な青白い顔色と、痩せこけた陰気な外見から、対外情報室の室長がこの名前を付けたのも納得がいきます。
ローランドの外見と名前が、ローランドの神秘的な存在感を際立たせています。
クラウスに一蹴され投獄される
ローランドは「俺を倒せるのは『燎火』だけだ」という言葉を常に口にし、クラウスを自身のライバルとみなしていました。
実際、ティアとモニカの二人を同時に相手にした際には、一人で圧倒的な強さを見せつけています。
しかし、クラウスとの直接対決では、わずかな攻撃で沈黙させられてしまい、
「何年も待ちわびた。俺のライバルに足り得る…」
と言葉を完結させることもできませんでした。
その後、ローランドはトランクに詰められ、ディン共和国の牢獄に送られます。
クラウスは、自分とは実力差があるにも関わらず、ローランドにライバル視されていることに大いに苛立ちを感じています。
ローランドとティア、紅炉との複雑な関係
スパイ教室の登場人物、ローランド、ティア、そして紅炉(こうろ)のフェロニカとの間には、複雑で深い因縁が絡み合っています。
その人間関係を探っていきます。
紅炉が死ぬ最期の瞬間を目撃する
ローランドは紅炉が「蛇」の紫蟻によって、撃たれて死亡するまでの一部始終を目撃していました。
この際、紫蟻は紅炉に対してローランドを「愛犬」として紹介します。
さらにはスタンガンで23秒間もの間、痛めつけるという残酷な行為を行い、その様子を見せつけながら礼を言わせました。
紫蟻の趣味の悪さが、際立つ瞬間です。
しかし、ローランドと紅炉は、それ以前から何らかの接点を持っており、紫蟻の支配を紅炉が密かに書き換えていたのです。
ローランドに「クラウスのライバルは自分だ」という思い込みを植え付け、ローランドにそう言わせ続けるのも、実は紅炉の仕業だったのです。
紅炉はティアを助けた命の恩人
紅炉はティアにとって、恩人の存在です。
ティアが過去に誘拐・監禁された際、彼女を救出したのは紅炉でした。
その事件のトラウマで声を失ったティアは、紅炉との共同生活の中で、紅炉の声や話し方を真似ることで、徐々に話す能力を取り戻します。
現在、ティアは自らの声で会話ができるようになっていますが、実は紅炉の声や話し方を忠実に再現する能力を持っています。
また、紅炉はローランドに「俺はクラウスのライバルだ」と発言させることで、クラウスとローランドの間で対決が生じるきっかけを作りました。
そして現実では、その思惑通りになっています。
ティアにより解放され灯に加わる
ローランドはティアの助けを借りて、紫蟻の精神的な支配から逃れます。
そして反乱組織「灯」の一員として、共闘する道を選びました。
ティアがローランドの精神を解放するために、用いた方法は以下の通りです。
- 紅炉の声を模倣してローランドに話しかける。
- 目を合わせて心を読むことで、内面に深くアクセスする(ティアの特殊能力)。
- 「新しいご主人さまといいことしましょう」という言葉を使って、新たな忠誠を誘う行動をとる。
このようなティアならではのアプローチにより、ローランドは新たな同盟者として「灯」に加わります。
そしてメンバーとともに、戦う力を得ることができました。
最期は白蜘蛛に銃撃され絶命する
ローランドの命は、紫蟻が率いる9人の【将軍蟻】との激戦の末、白蜘蛛の銃撃により絶たれます。
ローランドは戦闘中に腹部と腕を撃たれており、その後、白蜘蛛の銃弾がローランドの右足を吹き飛ばすことで、最終的な運命を迎えました。
将軍蟻全員からの攻撃を受け、血しぶきを上げながらもローランドは、自らの人生に最後のけじめをつけるかのように、果敢に立ち向かいます。
その姿は、全く歯が立たない状況であっても、見る者にとっては非常に勇敢に映ったのです。
死ぬ間際にクラウスと言葉を交わす
白蜘蛛は「蛇」の秘密を守るために外部への情報漏えいを極度に嫌うため、赤井秀一を彷彿とさせるような、遠距離からの正確な射撃でローランドを撃ちます。
ローランドの最後の瞬間、クラウスとの間で交わされた会話は、ローランドのキャラクターと彼らの関係性を象徴しています。
ローランド:「キミのライバルに俺はなれたかい?」
クラウス:「まったく持って力不足だ」
クラウスに仲間として認められる
ローランドとクラウスの最後の対話は、表面的にはクラウスがローランドを断固として否定しているように見えます。
しかし実際のところ、その会話にはより深い意味が込められています。
ローランドは生涯を通じて多くの暗殺や戦闘に関わり、多くの命を奪ってきました。
ローランドの最後の行動は「灯」としての共闘という形で、モニカたちを守るために自らを犠牲にします。
ローランドの勇敢な行動がなければ、紫蟻の生け捕りはずっと困難なものとなっていたでしょう。
そのため、クラウスの言葉は一見すると冷たくも感じられるかもしれませんが、実際にはローランドを一時的にでも仲間として認め、その死を看取るという形でローランドに敬意を表しているのです。
灯により遺体はその場で焼却された
このシーンは、二人の間に感じられる感情の変化と、一時の連帯感を表しています。
驚くべきことに「灯」は、ローランドの遺体を現場で焼却しました。
これはローランドが安らかに眠ることを願い、ローランドの魂が平和を見つけるための行為だったのかもしれません。
ローランドの勇気ある行動を忘れずに、ローランドの最後に敬意を払ったのです。
まとめ
スパイ教室シリーズにおけるローランドは、ガルガド帝国のスパイであり、ディン共和国では「屍」というコードネームで知られています。
本来の名前「潭水」は、「蛇」の紫蟻の愛犬として支配されていた、ローランドの存在を示しています。
紫蟻による精神的支配を受けていましたが、紅炉の影響による支配の書き換えと、ティアの助けによって紫蟻からの支配から脱却します。
その後、「灯」と共に戦いますが、紫蟻の将軍蟻との戦いで腹部を撃たれ、最終的には白蜘蛛の狙撃で右足を吹き飛ばされ、命を落としました。
初めの登場では、それほど重要なキャラクターとは思われていなかったローランド。
しかし、物語が進むにつれて、その存在の重要性が明らかになり、アニメでのローランドの活躍を見るのが非常に楽しみになりました。