まどマギのキュゥべえの目的や、役割について説明します。
どんな理由で、人類が住む星を訪れたのでしょうか?
エネルギーを集めるために魔法少女を利用
物語が最高潮に達する場面で、見た目の愛らしさとは裏腹に、実は異星人のインキュベーターである「キュゥべえ」の正体が明らかになりました。
キュゥべえが人類の住む星を訪れた理由は、宇宙の生命を延ばすことにありました。
希望に満ちた心で魔法少女に変身する少女たちが絶望に落ちる瞬間、大量のエネルギーが解放されると言われています。
キュゥべえはこのエネルギーを集めるために少女たちと魔法の契約を結び、彼女たちを魔法少女へと変貌させていたのです。
彼にとっての魔法少女は、利用される家畜に過ぎなかったのです。
シリーズ序盤ではキュゥべえが、ほむらに酷く傷つけられる場面が描かれています。
このシーンは彼を助けを必要とする無力な存在として、視聴者に映すよう意図されていました。
制作者たちは視聴者が誤解を抱くような、ストーリーを敢えて描いていたのです。
宇宙の崩壊を阻止しようとする
また、キュゥべえはエネルギー枯渇を回避し、その結果として起こるかもしれない地球を含む宇宙の崩壊を阻止しようと、不足しているエネルギーを補給しようとしていました。
エネルギー収集の最も有効な方法として、地球の少女たちを魔法少女に変え、絶望して魔女へと変わる際に放出される「相転移エネルギー」を集める戦略を選び、少女たちをその道へと誘っていたのです。
キュゥべえはその手法によって、間接的に地球が救われるという理屈を持ちつつ、「数十億の生命がいれば、いくつかの犠牲は問題ない」という冷酷な見解を有していました。
「インキュベーター」という名前は「孵化(ふか)器」という意味を持ちます。
つまり魔法少女を孵化させ、彼女たちが魔女を生み出すプロセスそのものを指しているのです。
少女の願いごとと引き換えに戦わせる
2011年に放映された当作品は、初見ではその愛らしいキャラクターたちが織り成す物語の表層に惹かれがちですが、予想外のダークな展開により、物語の深い層に気づかされ、視聴者は脚本に心を動かされています。
物語のキーパーソンである「キュゥべえ」に関しては、彼が持つ資本主義的な側面や、冷たい行動が人間社会のそれと相似しているとの見方が広まっています。
キュゥべえは魔法少女たちとの契約を通じ、彼女たちの願いをかなえることと引き換えに永続的な戦いを課す運命を与えます。
彼の提案は、表面的には魅力的に思えます。
しかし、魔法少女たちが絶望し魔女へと変貌する過程でエネルギーを抽出するという、彼の真の目的は曖昧(あいまい)にされています。
人間も動物に同じことを行っている
キュゥべえが語る「宇宙のエントロピーの増大を防ぐ」という大義は、人間の自己正当化に過ぎないとも考えられ、彼らの方法は私たちの捕食者としての本能を映し出しているように感じられます。
キュゥべえたちが効率的なエネルギー回収を目論む行為は、その無情さを際立たせています。
キュゥべえの行動は、私たち人間が動物たちに行っていることと類似しています。
私たちは動物を管理し、家畜として利用してきたのです。
そして人間にとって都合の良い、動物を選んできた農耕や家畜化の歴史を振り返ると、キュゥべえの少女たちに対する行動もまた、彼の目的のために選ばれた存在となっているのです。
牛乳生産の最適化のように、キュゥべえがエネルギーの効率的な回収のために独自のシステムを築いたという事実は、経済的利益を追求する私たちの行為と同じ根底を持っています。
私たちは動物たちの思いやりを持たずに、これらの行為をしてきました。
力は与えられるものの、感情的なサポートは欠如しているキュゥべえの姿勢は、良質な飼料を与えながらも、家畜の健康を維持するための環境を提供しない人間の行為と重なります。
「魔法少女まどか☆マギカ」が深い影響を与えているのは、単に家畜化のプロセスを描いているからだけでなく、科学的な生産性とその追求をテーマにしている点にあります。
倫理よりも利益を優先する人間の行動の比喩
キュゥべえの行動は、現代の資本主義社会の価値観と相似していると多くの人が指摘しています。
キュゥべえが魔法少女たちから抽出する感情エネルギーのプロセスは、人間が追求する生産性や効率の極大化に非常に似ています。
キュゥべえは計算高く、感情エネルギーを最大限に回収するために、鹿目まどかが魔法少女になる様々な筋書きを試みています。
これは自然をコントロールしようとする、人類の科学技術利用と重なります。
科学の進歩が時に倫理的問題を生じさせる一方で、その利益のために問題が見過ごされがちである点を反映しています。
このアニメが提示するメタファーは、私たちが他の生物をどのように利用しているか、そしてそれが倫理的にどうあるべきかを問うものです。
キュゥべえによる魔法少女の利用は、倫理を後回しにして利益を優先する人間の行動の比喩として機能しています。
また私たちが、豚などの家畜の精神状態を無視する傾向にあることも、アニメが批判の対象とする資本主義の側面です。
豚の幸せが肉質向上に関係ある時だけ興味を持ち、そうでない時は無関心な態度は、キュゥべえが魔法少女たちの精神状態を顧みず、エネルギー回収だけに焦点を当てる様子と符合します。
最終的にキュゥべえへの嫌悪感が、現代人の負の面を浮き彫りにしているという考えは深い意味を持っています。
これは私たちが普段忘れがちな自省点を指摘しており、そうした洞察は人を深く考えさせるものです。