【外見至上主義】の物語は、才源高校のメンバーたちが中心です。
主人公の長谷川蛍介をはじめとした、個性豊かな学生たちの日常と私生活(主に喧嘩)が描かれています。
- 長谷川蛍介
- 北原流星
- 四宮紅輝
- バスコ (馬場晃司)
- 岡本翔瑠
- 磯野聡
- 今西健太
- 埼玉貴仁
- 森永雅樹
などが登場します。
彼ら全員にはそれぞれ背景がありますが、特に磯野聡(いその さとし)の過去が印象的です。
聡はホステルのリーダーで、過去には多くの困難がありました。
その内容はかなり悲惨で、これを知れば聡に対する見方が一新されるでしょう。
さて聡には、一体どのような過去があったのでしょうか?
磯野聡の過去について、詳しく紹介します。
磯野聡の過去について
聡の人生は幾つかのフェーズに分けられます。
【幼年期】
家族からの虐待
家出 → 生きるために必死
ホステル設立
ホステル解体
【青年期】
- 才源高校への入学
- ホステルA、Bとの対立
これらは彼の人生のほんの一部に過ぎませんが、内容はさらに深いものがあります。
以下、聡の過去の詳細を解説していきます。
幼少期の複雑すぎる家庭環境
聡は父と母、自身を含めた3人家族の中で育ちました。
生まれた時から、父親の家庭内暴力により母親が苦しむ姿が日常です。
また、母親もストレスから「かくれんぼ」と称して聡に暴力を振るったことがあり、その家庭環境は非常に厳しいものでした。
耐え兼ねた母親は最終的に聡を残して失踪し、その後、父親は新しいパートナー(義母)を連れてくることになります。
新しい義母には聡と年齢が近い2人の娘がおり、突然の5人家族としての生活が始まります。
しかし、義母は聡を前妻の子として可愛がらず、些細なことでよく叱責されました。
彼女からは「女の子と話すと妊娠する」「女の子と一緒にいると子供ができる」といった根も葉もないことを吹き込まれます。
更に、聡を支えていた実父が亡くなり、義母は新しい夫(義父)を迎え入れます。
この時点で、聡は家族内で疎外される存在となり、外出や食事も制限される孤独と飢えの中で生活します。
結局、耐えかねた聡は何も持たずに家を出る決心をし、厳しい環境から逃れるため裸足で家出を敢行します。
これが聡の幼少期の苦難の始まりでした。
花宮芹那と偶然出会う
家出した聡は、悪徳な大人に利用される日々を送ります。
彼は新製品の発売日前に、転売目的で寒い夜に店先に並ばされることもありました。
また、養子縁組という名目で不正にお金を騙し取られるなど、様々な形で悪用されます。
その中で聡は都市を彷徨い、ひょんなことからレジャー施設跡地の大きな廃墟で、一晩過ごすことになります。
そこで出会ったのが花宮芹那でした。
実は、その場所は芹那が一人で生活している家であり、偶然の出会いが2人の運命を大きく変えることになります。
澤渡や穂乃果たちとの出会い
ある晩、芹那が月明かりの射す部屋に足を踏み入れた際、聡がライアン(猫)と共に眠っているのを見つけます。
この出会いを経て、聡は芹那に強く惹かれる澤渡元弥、その仲間の太郎やエリカと知り合い、やがて彼らと親交を深めます。
さらに穂乃果や王獒春も加わり、彼らは一緒に過ごす中で家族のような絆を育て始めます。
特に穂乃果と王獒春は家族がおり、それ以外のメンバーは家族がいなかったため、彼らの存在がグループにとって大きな意味を持ちます。
犯罪で生活資金を調達
楽しい日々を過ごす一方で、彼らは生活資金の問題に直面します。
聡は車上荒らしを行い、王獒春は女性になりすまして金品を盗むことで生計を立てました。
さらに聡と元弥は、芹那に内緒で悪事に手を染めることで生活費を稼ぎます。
その一環として、王獒春が「空き家を見つけた」と主導して行った空き巣が、実は王獒春の実家であることが判明します。
この事実に両親が気づき、彼らは厳しく叱責されます。
芹那は、犯罪に手を染めることで得たお金に対して強く悲しみを表し、「犯罪してまでお金はいらない」と言い、彼らの間に暗い影を落とします。
東郷辰郎との対決
東エリアに位置する「バッグドア」というグループが、四大クルー入りの候補として名前が挙がっていました。
そのチームのヘッド、東郷辰郎が聡に目をつけ、彼に挑戦を仕掛けます。
東郷の技術は高かったものの、聡の予測不能な行動と野生的な強さに圧倒され、命の危険を感じます。
その経験により、東郷は精神的に追い詰められ、その姿に周囲も違和感を抱きます。
バッグドアの四大クルー入りを夢見るメンバーたちも、震えて帰ってきた東郷の姿に落胆します。
東エリアの統合を任せられる
この出来事をきっかけに、ホステルの聡に興味を持った譲は行動を起こします。
同時に、四大クルーの統合を目論む神谷ヨハンと、西エリアを代表する「ビッグディール」のナンバー2である、東郷太嗣(東郷辰郎とは別人)が結託。
※バッグドアの東郷辰郎と、ビッグディールの東郷太嗣は異なる人物です。
三者はそれぞれ異なる目的を持ちつつ、東のホステルというチームが障害であると考え、共同でホステルに挑戦します。
戦いでは元弥、太郎、エリカ、聡が激闘を繰り広げるものの、最終的には聡の圧倒的な強さとカリスマ、そして戦略的な思考が譲に認められます。
結果として、聡はバッグドアの後任としてホステルを率いることになり、東エリアの統合を託されることになります。
家族ごっこの終焉
聡たちは、以前のように譲に資金を提供しなければならなくなり、それを避けるために「分散型組織」の構築に努めていました。
一方、聡は穂乃果と親しくなり、一夜を共にしてしまいます。
この関係に嫉妬した王獒春は、聡が穂乃果と過ごした様子を警察に通報する決断をします。
通報を受けたのは穂乃果の母親で、彼女は婦警でした。
穂乃果の母はこの事実を知り、すぐに介入します。
これにより、聡たちが築いていた仮想の家族生活は露見し、ホステルのメンバーはそれぞれの道を歩むことになりました。
穂乃果の母の介入が、彼らの「家族ごっこ」に終止符を打ったのです。
王獒春による穂乃果の死
事件の波紋が収まらない中、穂乃果は妊娠が発覚します。
聡との再会を願う穂乃果は、彼の行方を知る王獒春に連絡を取るよう頼みます。
王獒春はこの機会を利用して、聡と穂乃果の間に入り、彼らのメッセージを書き換えることで二人の関係をこじ開ける策略を巡らせます。
その結果、聡と穂乃果の間に誤解が生じ、最終的には二人は完全に疎遠になります。
この策略により、二人は再会することなく、穂乃果は孤独の中で子供を産むものの、その直後に悲劇的な死を迎えます。
王獒春の計画は成功したものの、それは穂乃果にとっては悲しい結末となりました。
全てを失い行方不明に
穂乃果の訃報を受け取り、その通夜で聡は穂乃果の母親から激しい非難を浴びます。
更に、聡が穂乃果に中絶を強要したとの虚偽の情報が明らかになります(実際は王春がなりすましたもの)。
この事実が判明すると、元弥、芹那、エリカ、太郎からも疎外され、聡は完全に孤立します。
最後にホステルを訪れた聡は「かくれんぼしよ?」という言葉を残して、娘の恵那を連れて行方不明になります。
才源高校で父親として新生活
聡は才源高校の美容学科に入学し、1年生として、娘の恵那と共に新しい生活をスタートさせます。
学生生活を送りながらも、父親としての責任を果たす日々。
ある日、同級生の流星と瑞希が迷子の赤ん坊を発見し、その世話をすることになります。
これは漫画「外見至上主義」の179話と180話で描かれた「流星の子育て日記」というエピソードです。
この物語では、流星と瑞希が子育てに奮闘する様子が描かれ、赤ん坊を無事警察に引き渡すまでを描いています。
赤ん坊を引き取りに来た親が「良かった…恵那」と呟くシーンで、この赤ん坊が聡が育てている恵那であることが明かされます。
この一連の出来事が、聡と恵那の新たな生活の一部として描かれています。
まとめ:困難な状況からも前進する勇気
磯野聡の物語を通じて感じたことは、まず、家庭環境が個人の運命に与える影響の大きさです。
聡の壮絶な家庭背景とその結果としての苦悩は、人間がその出生や過去をどのように乗り越えるか?
もしくは、それに縛られ続けるか?の複雑なダイナミクスを描いています。
聡が仲間や穂乃果との関係を通じて学び、成長し、最終的には自己の過去を超えて新たな生活を築く過程は、個人の再起と変化の可能性を強く感じられるでしょう。
さらに犯罪と贖罪(しょくざい)のテーマも、物語に織り交ぜられています。
聡が過去に決断した選択と、その後の結果にどう向き合うか?
そして、それが彼のアイデンティティと将来に、どのように影響を及ぼすかが探求されています。
特に王獒春の策略による穂乃果の悲劇は、行動の結果が意図せずとも他者にどれほど深刻な影響を与え得るかを示しており、個人の選択が周囲に広がる波紋の重さが分かります。
最終的に聡の物語は、人間関係の複雑さ、選択の重み、そして個人の回復力と再生の可能性についての深い洞察を感じます。
これらの要素が組み合わさって、私たち読者に対して自己反省を促し、どのような困難な状況からも前進し続ける勇気を与えるストーリーではないでしょうか?