鬼滅の刃は完結しているにもかかわらず、作中で未解明の部分が存在します。
その中で今回取り上げるのは、戦闘用カラクリ人形「縁壱零式」です。
縁壱零式の中の刀は一体、誰が所有していたのか…?
この疑問に焦点を当てます。
縁壱零式の刀の所有者は継国縁壱
縁壱零式の刀の持ち主について、分析していきます。
その名前から想像するに、やはり縁壱が所有者である可能性が高いです。
その理由には以下の2点が挙げられます。
・300年以上も前に製造された、深い漆黒色の刀であること
・刀身に「滅」の文字が彫り込まれていること
しかし、これだけではピンと来ないかもしれません。
そこで具体的な根拠を、順に説明していきます。
300年以上前の戦国時代の遺産
まずは、からくり人形の製造過程から考察します。
縁壱零式の特徴は以下の通りです。
・原型となったのは実在した剣士
・その剣士の動きを完璧に再現するためには、腕を6本にする必要があった
・このからくり人形は戦国時代に関連する話である
・炭治郎たちが生きる大正時代から、さかのぼること300年以上前の時代
※原作漫画「第103話/縁壱零式」
・漆黒の刀の深みが異なる
・非常に強力な剣士であったことが伺える
※原作漫画「第129話/痣の者になるために」
・縁壱のように完全に再現できる者は誰もいない
・縁壱は各人の得意なこと、できることに応じて呼吸法を変えて指導した
・その結果、日の呼吸から派生した呼吸法が次々と生まれた
※原作漫画「第178話/手を伸ばしても手を伸ばしても」
これらの記述から、縁壱零式が登場する戦国時代が、縁壱の生活した時代と一致します。
さらに漆黒の日輪刀が、日の呼吸に適していることが示されています。
この時代にそのような特徴を持つ強力な剣士といえば、縁壱以外に考えられないという結論に至るのです。
「滅」の一文字が刻まれた執念の刀
前述の「第129話/痣の者になるためには」では、鋼鐵塚さんが縁壱零式から取り出した刀を、研ぎ終えた際のエピソードが語られています。
その際、炭治郎に提示された刀身には、「滅」の一文字が刻まれていることが確認できます。
さらに、この刀に関する詳細な説明が描かれており、以下の点が強調されています。
・この刀を鍛えた刀鍛冶は、全ての鬼を滅ぼす目的で製作した
・作者の名前は記されず、ただ一文字「滅」のみを刻んだ
・この刀の存在後に階級制度が導入され、柱のみが「悪鬼滅殺」の文字を刻むようになった
以上の情報から、階級制度が確立された後の剣士の刀には、通常「悪鬼滅殺」と刻まれるため、この刀がそれ以前のものであることが示唆されます。
縁壱が持つ刀にも「滅」の文字
また、日の呼吸とその派生形態を創出したのは縁壱であり、その適性を示す日輪刀は、縁壱が呼吸法を創始する以前には存在しなかったとされます。
縁壱やその時代の鬼狩り、刀鍛冶によって作られたと推測されます。
さらに縁壱の描写では、刀身に「滅」の文字が見えるシーンがあり、コミックス20巻の表紙にも縁壱の持つ刀には、「滅」が明確に刻まれています。
これらの情報を総合すると、深い漆黒で「滅」の文字が刻まれた日輪刀が、縁壱のものである可能性は極めて高いと言えます。
逆に言えば「縁壱零式」という特別なからくり人形に、無関係な人物の刀が入れられるとは考えにくいでしょう。
鍔が交換されている可能性がある
以上のことから、縁壱零式の中にあった刀が縁壱自身のものである、との推論で進めて来ました。
しかし刀の鍔(つば)の部分が、縁壱の刀と異なる点が確認されています。
一方で、縁壱零式の6本の腕に備えられている刀の鍔は、縁壱のものと同様です。
これにより、ある明確な違いが示唆されているように思われます。
鍔が異なることから、炭治郎の刀の鍔を煉獄さんの鍔に交換した例のように、鍔の付け替えが行われた可能性があります。
縁壱の予備刀の可能性がある
さらに鍔だけでなく、刀身に見られる波模様の刃文も、縁壱の持つ刀とは異なります。
これは刀が「縁壱の予備刀」として、存在した可能性を示唆しています。
この予備刀の鍔は丸形で、その半分が格子状になっており、一部の網目が破れていることが確認されています。
反対側の半分には、二つの三角形の穴が開いています。
また、破損した頭部は内部が空洞で、顔側のパーツにはケーブルやワイヤーが取り付けられていたことが分かります。
人形の操動に必要な部品の可能性
これは完全な推測ではありますが、内部に収められていた刀も、顔側のワイヤーを通すため、または結び付けることで、からくり人形の操動に必要な部品として機能していたのかもしれません。
このような理由から、鍔を意図的に交換した可能性は高いと考えられます。
最終的に炭治郎の日輪刀になる
第105話で、初めてこの刀が発見された際、300年以上前のものであるため、大きな錆びに覆われていました。
この時、鋼鐵塚さんが登場し、彼の一族が代々伝える「日輪刀研磨術」を駆使して研磨に挑みます。
この研磨術は非常に過酷で、過去には命を落とした者もいるほどです。
鋼鐵塚さんはこの作業に深く集中し、大量の汗を流しながら刀を磨き上げました。
その後、「上弦の伍 玉壺」と「上弦の肆 半天狗」を倒した後の第129話で、鋼鐵塚さんが完成した日輪刀を炭治郎に届けます。
この時、日輪刀には煉獄さんの鍔が装着されていました。
このようにして、この刀は炭治郎の新たな日輪刀として使うことになります。
物語のクライマックス、第192話では、炭治郎が「滅」の文字が刻まれた日輪刀と煉獄さんの鍔を用いて、鬼舞辻無残との戦いに臨みます。
この戦いで、炭治郎が「心を燃やせ」と自らに言い聞かせながらヒノカミ神楽で戦う姿は、非常に感動的なシーンとして描かれています。
人形の中に黒刀を隠した理由を考察
人形の中の日輪刀は、縁壱のものであった可能性が高いです。
しかし、なぜ刀をカラクリ人形の中に隠したのか?と疑問を持つことでしょう。
作中の描写をもとに、刀を隠した理由について考えられる点は以下の通りです。
【日輪刀を隠した理由】
・強い剣士に黒刀を渡すため
・無惨や黒死牟から黒刀を守るため
これらの点について詳しく解説していきます。
強い剣士に黒刀を渡すため
縁壱零式は「縁壱の動きを再現する」ために作られました。
そのため、人形は尋常ではない強さを持ち、通常の剣士では太刀打ちできません。
このような強い人形を打ち破った剣士だけに、「最強の黒刀を使ってほしい」との意図があったかもしれません。
縁壱零式に隠された日輪刀は、材質的にも技術的にも素晴らしい!と作中で書かれています。
これは間違いなく、強者にふさわしい日輪刀と言えるでしょう。
ただし、もし強者に受け継がせるためだったとしても、以下の疑問が残ります。
・縁壱が隠すように頼んだのか?
・カラクリ人形の作者が隠したのか?
これらの点については明らかになっておらず、どちらの可能性も考えられます。
どちらにせよ、刀鍛冶の鋼鐵塚さんも驚くほどの日輪刀であることは間違いありません(単行本14巻)。
後世の強い剣士に「最強の日輪刀を受け継ぎたい」という願いは理にかなっています。
誰が刀を隠しても、それには一定の理由があるはずです。
無惨や黒死牟から黒刀を守るため
無惨や黒死牟が、縁壱が黒刀を使用していたことを知っていた可能性は高いです。
特に黒死牟は元々鬼殺隊の一員であり、日輪刀に関する知識も深いはずです。
もし、鬼側が「黒刀=日の呼吸の刀」と認識していた場合、存在する黒刀をすべて破壊しようとする行動を取るのも不思議ではありません。
そういった理由から、鬼たちから黒刀を保護するために隠した可能性が考えられます。
特に縁壱零式に隠された黒刀は「名刀」とされ、縁壱と関連があると推測されます。
この黒刀が縁壱に関連するものであった場合、無惨や黒死牟がそれを見過ごすことはあり得ないでしょう。
日輪刀を隠した人物は、これらの脅威から黒刀を保護する意図があったのかもしれません。
この推理はあくまで推測に基づくものですが、それだけ重要な刀であったと考えられるでしょう。
まとめ:成功には時に大きな代償が伴う
縁壱零式に含まれていた刀は、単なる道具ではなく、過去の戦士の意志と技術の象徴です。
炭治郎が新たに手にした日輪刀は、彼の成長と鬼との戦いにおける重要な出来事となり、この刀が持つ過去の価値を再認識させます。
また、刀を研磨する過程で示された技術と伝統、そしてそれに伴う困難と犠牲は、物事を成し遂げるためには、時に大きな代償が伴うことを示唆しています。
この過程を通じて、鋼鐵塚の努力と炭治郎への支援は、過去から現代へと繋がる強い絆を象徴しており、それが文化や伝統を守り育てることの重要性を際立たせています。
最終的に、炭治郎が「滅」の文字が刻まれた日輪刀を持って戦う姿は、過去の遺志を継承し、困難に立ち向かう現代の若者の象徴として描かれています。
このシーンは個人の成長だけでなく、先人の遺産を尊重し、それを力に変えて未来へ進むことの大切さを訴えかけています。
このように刀の物語を通じて、伝統と革新の間の橋渡しをすることの価値を強調し、それがいかにして個々の内面の成長と、外的な挑戦の克服に寄与するかを示しているのです。
「鬼滅の刃」は多くの謎を残したまま終了しましたが、このような点についても外伝や追加ストーリーで触れられると、ファンにとっては非常に魅力的でしょう。