炭治郎は「日の呼吸」の剣士としての完全なる覚醒を果たし、透き通る世界を理解することで物語の大きな転換点を迎えます。
前巻の最後は、父・炭十郎からの透き通る世界に関する説明で終了しており、この「父からの指導」が炭治郎のこの度の覚醒に影響を与えました。
竈門家では代々、ヒノカミ神楽を通じて透き通る世界を体現するという、重要な神楽が伝えられています。
この記事では、
- 炭治郎の覚醒はいつ?話数と巻数
- 透き通る世界とは何か?
- 透き通る世界と痣の関連性
- 透き通る世界と赫刀との関係
- 透き通る世界の使い手は7人
- 炭治郎の覚醒の経緯と強さ
について掘り下げていきます。
- 炭治郎は18巻・第152話で覚醒した
- 敵の体が透明に見えるような状態
- 炭治郎以外は「柱」で痣が発現する
- 透き通る世界を会得した経緯と強さ
- 透き通る世界の使い手は7人いる
- まとめ:炭十郎の教えが炭治郎の覚醒を助けた
炭治郎は18巻・第152話で覚醒した
炭治郎が覚醒を遂げたのは、原作漫画18巻の152話「透き通る世界」でのことです。
この話では炭治郎が、自己の潜在能力を完全に開花させる様子が描かれています。
その覚醒によって「痣(あざ)」が現れました。
透き通る世界が見えるようになるためには、
・身体能力を最大限に引き上げる必要がある
・痣が現れた場合、25歳までの生存が難しい
・痣を引き出すためには、心拍数は200を超え、体温は39度以上必要
とされています。
痣が現れたことで、強い身体的負担を乗り越えた者だけが透き通る世界を経験し、相手の弱点を見抜く力を得ることができるとされています。
これは刀鍛冶の里での戦いで、痣が現れた時透無一郎が証言したことにより、具体的な事実が明らかになりました。
敵の体が透明に見えるような状態
炭治郎が習得した「透き通る世界」とは、彼を含む数名の鬼殺隊の剣士たちによって会得されている特別な能力です。
この能力は、敵の体が透明に見えるような状態を指し、その時に観察できる現象には「痣」の発現や、刀が赫色(かくしょく)に染まることが含まれます。
この状態では敵の血管、筋肉、内臓などが透けて見え、これが透き通る世界を体得している証拠となります。
この能力を得るためには、鍛錬を積み重ね、不必要な動きを完全に排除するまで自身の技を磨く必要があります。
例えば、悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)も、盲目であるにも関わらず透き通る世界を体得し、敵の動きを透視できるようになりました。
これは視覚が透き通る世界を会得する上で、必ずしも重要ではないことを示しています。
「柱稽古」を受け、連続して鍛錬を重ねた炭治郎は、鬼舞辻無惨との決戦前に透き通る世界を習得することができました。
実は炭治郎は刀鍛冶の里で、縁壱零式というからくり人形を用いて限界まで訓練を行い、上弦の肆半天狗との戦いで初めて透き通る世界を体験します。
しかし、その後は猗窩座との対決まで相手の体内が見えることはなく、完全にこの能力を会得したのは、猗窩座との戦いが最初であったと言えます。
炭治郎以外は「柱」で痣が発現する
透き通る世界を見ることができる剣士たちは、皆「痣(あざ)」を発現しています。
炭治郎以外で、この痣を持つ者は全て「柱」として知られています。
・時透無一郎
・甘露寺蜜璃
・悲鳴嶼行冥
・富岡義勇
・不死川実弥
・伊黒小芭内
特に時透無一郎と甘露寺蜜璃は、柱として初めて痣を発現させることに成功しました。
この痣は彼らの身体能力を、飛躍的に向上させる要因となります。
痣が発現する条件
・体温は39℃に達し、脈拍は200を超える極限状態が必要
・痣を持つ者は25歳までの命とされる
・一人が痣を発現すると、その影響が他の剣士にも伝播し、連鎖的に痣を発現させる現象が起こる
このような条件のもと、炭治郎の影響から時透無一郎、甘露寺蜜璃を始めとして、次々と柱たちが痣を発現させます。
その結果として身体能力が最大限に引き出され、透き通る世界を見る能力が会得されました。
悲鳴嶼行冥は、この力を独自に会得していました。
しかし、他の柱はその存在を完全には理解しておらず、戦いの最中に悲鳴嶼の呼びかけによって透明な世界を体感するようになります。
また、透き通る世界が見えることは、「赫刀(かくとう)」とセットで発現するとも言われており、これら二つの現象が合わさることで剣士たちの戦闘能力は大幅に増大します。
「赫刀」現象も伴う
透き通る世界を会得した剣士たちは、それに伴い刀が赫く染まる現象も経験します。
この現象は、禰豆子の血鬼術「爆血」と結びついて、初めて炭治郎が刀を赫刀に変えることに成功しました。
その後、以下の剣士たちも自力または協力を経て赫刀を実現します。
・悲鳴嶼行冥は自力で刀を赫くした。
・富岡義勇と協力し、不死川実弥が赫刀を達成。
赫刀を発現させるためには「万力の握力」が求められ、死んでも刀を離さないほどの執念が必要です。
時透無一郎や伊黒小芭内は、体が小さいながらも強い執念で赫刀を手に入れました。
赫刀を手にした剣士たちは、その後ほどなくして透き通る世界も会得することが多く見られます。
透き通る世界を会得した経緯と強さ
炭治郎が覚醒し、透き通る世界を会得するまでの過程と、その強さについて詳しくご紹介します。
第1話から額に痣があった
炭治郎の額に見られる痣らしきものは、最初は第1巻第1話「残酷」で確認できます。
当初は単なるけがの痕として認識されており、炭治郎自身もそれをやけどの跡だと語っています。
しかし、最終選別を経て初めての任務に向かう際、痣の形が変化しています。
第10話で痣者であることが確定
第2巻第10話「人攫い沼」では、炭治郎が最終選別時に鬼との戦闘で負った傷が変貌を遂げる過程が描かれています。
鱗滝の自宅での療養中にも、その部分が手当てされていましたが、痣は戦いの中でさらに進化し、炭治郎が「痣者」であることが確定します。
第94話で痣の形が変化し覚醒
明確に痣の形が変わるのは、第11巻第94話「何とかして」の回です。
この時の炭治郎は上弦の陸、妓夫太郎との戦いで痣の変化を目撃されます。
炭治郎はこれまでの力を超えて、渾身の一撃で挑んだ瞬間に痣の形が変化し、その覚醒が確認されました。
鬼に見間違えるほど強くなる
これほどの変貌を遂げた炭治郎に対して、以下のような噂が流れました。
「炭治郎が鬼になった」
「炭治郎が鬼化した」
しかし、炭治郎が実際に鬼になるのは23巻の最終話で、鬼舞辻無惨から全ての血を注入されたことによります。
透き通る世界を会得した彼の戦い方が格段に強くなり、それが人々に彼が鬼に見えるほどの迫力を与えたのでしょう。
動きの予測と回避の速度が向上
父が教えてくれた「透き通る世界」に入ると、動きの予測と回避の速度が劇的に向上することを実感した炭治郎は、猗窩座と義勇の戦いを注視していました。
義勇が苦戦し、間合いを取ることができずに猗窩座から致命的な一撃を受けそうになった瞬間、猗窩座の腕が突然地面に落ちました。
わずか一瞬で、炭治郎が猗窩座の腕を斬り落としていたのです。
この予想外の出来事に猗窩座は驚き、
「全身の細胞が、今すぐにこの者を殺せと叫んでいる」
と直感します。
猗窩座が更に血鬼術を使い始めたものの、炭治郎はそれまでとは違う、計り知れない変化を遂げていました。
義勇もその変化には言葉を失うほどで、炭治郎の気配はまるで別人のように変わり、額の痣がはっきりと浮かび上がり、透き通る世界を完全に会得していたのです。
相手の動きがゆっくり見える
覚醒により透き通る世界を体感した炭治郎には、不思議なことに時間がゆっくり進むかのように、相手の動きが遅く見えるようになっていました。
炭治郎は無我の境地、猗窩座が探求していた至高の領域に達していたのです。
猗窩座は恐れを感じ、「終式 青銀乱残光」での猛攻撃を仕掛けますが、その増大した威力と速度の攻撃も、義勇は「十弐の型:凪」で受け止める構えを取り、炭治郎がこれを見守っていました。
義勇は凪で応戦しながらも、猗窩座の乱れ打ちにより重傷を負い、猗窩座は義勇に鬼への転生を促します。
その瞬間、炭治郎が猗窩座に近づき「猗窩座!今からお前の頸を切る!」と宣言。
この素直で率直な宣言が、炭治郎の特徴的な一面を示していますが、時と場をわきまえた戦略も必要かもしれません。
その後、炭治郎が放った「ヒノカミ神楽 斜陽転身」により猗窩座の首を切ることに成功しますが、上弦の鬼の首を切ってもすぐには終わらないことが多いため、これからの展開も引き続き注目です。
透き通る世界の使い手は7人いる
透き通る世界を使えるのは、鋭敏に研ぎ澄まされた感覚を会得した剣士のみ。
例外的に鬼である黒死牟も、この能力を使って戦うことができます。
透き通る世界の使い手は、以下の7名です。
- 継国縁壱
- 竈門炭十郎
- 竈門炭治郎
- 時透無一郎
- 悲鳴嶼行冥
- 伊黒小芭内
- 黒死牟
縁壱は「始まりの呼吸」の使い手として、透き通る世界の先駆者であると言えます。
炭十郎は剣士ではなかったものの、縁壱が転生した姿ではないかとも言われ、縁壱に非常に似ていたとされています。
炭治郎は猗窩座(あかざ)との戦いで、透き通る世界を完全に会得しました。
それ以前にも刀鍛冶の里で半天狗と戦った際に、一瞬ですが透き通る世界を感じ取ることができています。
時透無一郎は、黒死牟との戦いで精神が限界まで追い詰められた際、死の直前に透き通る世界を会得しました。
彼は黒死牟の子孫であることから、何らかの形で共鳴したのかもしれません。
悲鳴嶼行冥は鬼殺隊の中でも最強とされ、自力で透き通る世界を会得しました。
その後、彼の呼びかけに応じて伊黒小芭内も、透き通る世界を会得することができました。
黒死牟は鬼でありながら透き通る世界が見える唯一の存在ですが、彼はもともと縁壱の双子の兄です。
力の差はあるものの、能力に劣らないことがその理由とされています。
小芭内は強い意志で会得
伊黒小芭内は、鬼殺隊の中で体が小さく少食で、他の剣士に比べて力も劣っています。
それにもかかわらず、彼が他の柱たちには不可能だった「透き通る世界」を会得できたのは、なぜでしょうか?
その理由は、彼の内に秘めた強い意志にあります。
特に甘露寺蜜璃を、どんなことをしてでも鬼から守り抜くという決意。
亡くなったお館様への恩返しの思い。
そして自身が汚れた一族から生まれたことへの、贖罪の気持ちが彼を突き動かしました。
時透無一郎が経験したように、死を間近に感じた極限の状態で、彼の精神は研ぎ澄まされ、透き通る世界を見る能力を開花させるに至ったのです。
鬼でありながらも使える黒死牟
無限城で時透無一郎を前にして、黒死牟はすぐにその体を透き通らせることができました。
黒死牟も「透き通る世界」の使い手であることが、これで明らかになります。
彼は元々、鬼舞辻無惨によって「呼吸の使える者を鬼にしてみたい」という思惑で鬼にされましたが、そのために月の呼吸を使う鬼となりました。
そして、日の呼吸の使い手である継国縁壱の双子の兄として、縁壱に劣らない能力を持っていたことが、鬼でありながら透き通る世界を使いこなす理由となっています。
まとめ:炭十郎の教えが炭治郎の覚醒を助けた
・鬼滅の刃において、炭治郎が「透き通る世界」を会得したのは単行本第18巻152話「透き通る世界」でのことです。
・炭治郎の覚醒により、「透き通る世界」を見ることが可能となり、これが宿敵・猗窩座の首を斬る決定的な要因となりました。
・炭治郎の「透き通る世界」の会得は、物語の大きな転換点であり、ストーリーにおける重要な出来事として描かれています。
炭治郎は、猗窩座と義勇の戦いを注視しながら、かつて父から受けた見取り稽古を思い出しています。
彼の父は、多くの人を喰った熊と戦う際にも恐怖を感じず、植物のように静かな気配でいることができました。
この父の教えが、炭治郎の「透き通る世界」への覚醒を助けたのです。
この覚醒は後に迎える鬼舞辻無惨との戦いで、炭治郎にとって重要な勝機を与えることになります。
そして、痣を持つ者は皆、この透き通る世界を感じ取ることができるようになるという共通の特徴があります。
これが、彼らが超人的な戦闘能力を発揮する理由ともなっています。