【薬屋のひとりごと】の物語では、猫猫が後宮での謎を解き明かす場面が多く描かれます。
薬学、医学、生物学をはじめとする、広範な知識を持つ猫猫。
猫猫がどのような幼少期を経てきたのかは、非常に興味深い問題です。
また、猫猫の出生自体も、不透明な部分があります。
さりげなく描かれるシーンで、猫猫の小指の変形が確認できます。
この小指の形状も、猫猫の過去や出生に深く関連している可能性があります。
猫猫の人物像について、どのような秘密が隠されているのでしょうか？
猫猫の謎多き出生の過去と正体
主役である猫猫は見た目は可愛らしいですが、実は多くの秘密を抱えています。
登場人物の中でも、特に謎に包まれた存在です。
幼い頃から薬学や、医学を学んできた過去が描かれています。
さらに、その出生の背景には羅漢が関与する形で、少しずつ明らかになっています。
医学と薬の専門知識を持つ
猫猫の養父である羅門（ルォメン）は、元・医官で後宮で唯一信頼された医師です。
羅門は過去に多くの困難を乗り越え、現在はのんびりとした生活を送っています。
そんな羅門は、猫猫にさまざまな知識を教え込みました。
猫猫は幼少期から他に興味を示さず、自然と薬草を摘みながら学んでいったのです。
その結果、猫猫は「医学・毒・病気に精通」するようになります。
羅門が誤算だと感じたのは、猫猫が予想以上に薬学に深い興味を持ってしまったことでしょう。
自身の体で実験を行う変わり者
猫猫は、意識が芽生えてから毒や薬草への関心が増し、ついには自分で毒を試すようになりました。
これは臨床検査の名の下で行われる「人体実験」のようなものです。
猫猫は自ら傷を作り火傷を負っては、自作の薬を塗り、その効果を確かめていました。
そのため猫猫の腕は、傷や火傷でいつも覆われていたのです。
当時の社会では女性の地位は低く、多くは読み書きができず、主に家庭を守る役割に徹していました。
「学びは必要ない」とされていた時代もありますが、真の理由はおそらく経済的なものでしょう。
勉強にはお金がかかるため、それができない家庭が多かったのです。
そんな状況の中で自ら進んで学び、さらには自分で実験を重ねる猫猫は、変人と見なされても仕方がないです。
花街に関する知識が豊富
猫猫は先述のとおり、羅門に育てられています。
実の両親は健在ですが、何らかの事情で一緒には暮らしていません。
ただし、羅門だけでなく、緑青館の婆や祇女たちの手も借りながら育てられました。
そのため、猫猫は花街に関する知識が豊富で、夜伽についても上級妃に助言できるほどです。
羅門は元・後宮の医官であり、薬に関する深い知識を持つ人物です。
さらに当時は珍しかった、西洋医学にも精通していました。
猫猫も羅門の影響を受け、幼少期から薬学に関心を持ち、自然と知識を吸収していったのです。
緑青館で育った影響で口が悪い
猫猫は、城下の中でも特殊な場所である花街、つまり現在でいう風俗街で育ちます。
この環境で、猫猫はやり手の婆に厳しく鍛えられ、三姫と呼ばれる「女華（ジョカ）」「白鈴（パイリン）」「梅梅（メイメイ）」に可愛がられました。
花街は一般的な城下に比べ治安が悪く、独特のルールが支配する世界です。
そのため、自然と言葉遣いや態度が荒々しくなるのも、無理はありません。
丁寧な言葉遣いが通じない相手も多いため、猫猫にとっては生き残るための術だったのでしょう。
自分の身を守る力を求められる厳しい環境が、猫猫の性格形成に大きな影響を与えたと考えられます。
実の父は羅漢で母は鳳仙
猫猫は孤児ではなく、複雑な家庭環境の中で育てられました。
実の両親も健在であり、父は優れた軍師「羅漢（ラカン）」、母は元祇女の「鳳仙（フォンシェン）」です。
羅漢は当初、鳳仙が猫猫を妊娠していることに気づいていませんでした。
一方で、鳳仙も自身のプライドから素直になれず、2人の関係はすれ違い続けます。
さらに鳳仙は梅毒に罹患し、隔離されるという悲劇に見舞われます。
羅漢が猫猫の存在を知り、鳳仙と共に迎え入れようとしましたが、その時には既に2人の行方は分からなくなっていました。
しかし、時が流れ十数年後、猫猫が後宮に上がったことで羅漢は猫猫との再会を果たします。
ここぞとばかりに接触を図り、一緒に暮らそうと試みています。
「指切りの呪い」で小指が変形
あまり描写されていませんが、猫猫の小指は変形しています。
これは、過去の鳳仙の行動に由来しています。
鳳仙は猫猫を身籠った後、羅漢との連絡が取れなくなり、精神的に追い詰められていきました。
錯乱状態に陥った鳳仙は、「指切りの呪い」として、自身の小指と猫猫の小指を切り、羅漢に送りつけたのです。
※「指切りの呪い」とは、愛する相手に自らの真剣さを示すために、指を切り取り送る行為を指します。
この際、鳳仙は自分の小指を根元から切り落としましたが、猫猫の指は第一関節部分だけに留めました。
鳳仙の中にも、娘への愛情が残っていたと考えたいところです。
やはり我が子の指を切るのは、さすがに耐え難かったのでしょう。
猫猫の指はその後再生しましたが、傷の影響で現在も変形したままになっています。
人さらいに遭い後宮へ売られた
猫猫は薬草を採取するために外出した際、「人さらい」に遭います。
その結果、後宮に売り飛ばされてしまうことに。
任期が終わるまで花街に戻ることも、家族に連絡を取ることもできなくなりました。
この急な出来事に羅門や緑青館の人々は、猫猫が突然失踪したと捉えていました。
驚くような話ですが、当時の時代背景を考えると、それほど珍しくない出来事だったのでしょう。
とはいえ、あまり気にしない周囲の反応にも驚かされますね。
今後の壬氏との関係に期待
壬氏が猫猫に興味を抱いたのは、猫猫が自分を特別扱いせず、毒や薬の知識を持つ興味深い存在だったからです。
猫猫の冷静な態度に惹かれ、後宮の侍女として最適だと感じた壬氏は、次第に猫猫との時間を増やしていきます。
一緒に過ごす中で、猫猫の本来の姿（普段はそばかすを描いて隠しています）を知り、探究心だけでなく優しさや気遣いに惹かれていく壬氏。
一途で分かりやすい壬氏の行動に対し、猫猫は当初、嫌悪感を露わにしていましたが、次第に彼の真剣な態度や秘密を共有するうちに、壬氏への感情が変化していきます。
小説では壬氏が猫猫にプロポーズをしたり、キスをしたりと関係が進展中！
物語の結末では、ぜひ壬氏と結婚し、国母となる猫猫の姿を見たいですね。
まとめ
今回は大人気作品「薬屋のひとりごと」の主人公、猫猫について説明や考察をしました。
・薬や毒に精通し、文字の読み書きもできる
・薬の知識は、元医官だった養父・羅門の影響
・実の両親は健在で、父は軍師・羅漢、母は元祇女・鳳仙
・母・鳳仙に「指切りの呪い」で切られた小指は歪んでいる
・人さらいに遭い後宮に連れてこられた
・壬氏との関係はお互いに好意を持ちつつも、少しずつ距離を縮めている
一見、天真爛漫で奇抜な性格のように見える猫猫ですが、その生い立ちはなかなか過酷です。
主人公として異色の存在感を放つ彼女ですが、自分の信念を貫きつつ周囲と向き合う姿がとても魅力的ですね。
ほんのり頬を赤らめる猫猫・・・。
その仕草から見える壬氏との関係の進展には、思わずニヤニヤしてしまいます。
これからも2人のペースで、少しずつ絆を深めていってほしいです。
