「薬屋のひとりごと」は、猫猫の推理が魅力的！
物語には数多くの伏線が散りばめられていて、見どころが満載です。
そんな中で、特に初期から注目されていたのが、「園遊会」という行事で見られる簪（かんざし）についての話題です。
最初はその重要性に気づかずに眺めていましたが、後になってその深い意味が明らかになりました。
今回は園遊会での簪の役割と、壬氏と李白について深掘りしていきます。
園遊会の簪にはどんな意味がある？
簪は本来、長い髪をしっかりとまとめるための髪留めです。
一方、園遊会は年に2回、皇帝が主催する盛大な宴会であり、この席で後宮の高位の妃4人が集います。
通常、これほど多くの高位の人物が一堂に会する機会はないため、後宮にとっては非常に重要なイベントです。
当日は、妃たちはもちろん、侍女たちも特別に身を飾ります。
この日、侍女たちは主の妃から装飾品を受け取り、どの妃のもとで仕えているかが外からもわかるようになっています。
毒見役として猫猫も出席
園遊会には高位の妃だけでなく、国の高官や武官も出席。
互いに交流を深める目的がありますが、場の空気は非常に緊迫しています。
特に妃たちの侍女同士は敵意を隠さず、時にはその様子が怖いほどです。
女性同士のライバル心は想像を超えるほど激しく、見ていると恐ろしくなることさえあります。
また、食事が提供されるため、毒見役として猫猫も出席しており、毒物が盛られる可能性に胸を躍らせています。
才能の証として贈られる
園遊会の侍女たちの間で、特に注目を集めるのが「簪」です。
この「簪」は、ただの装飾品ではなく、優秀な侍女を勧誘し、その才能を認める証として贈られることもあります。
しかし、「簪」にはそれ以上の深い意味が込められており、それが明らかになると心がときめくものです。
さあ、その深い意味を探るために続きを詳しく見ていきましょう。
簪の贈呈には2つの意味がある
簪を贈る行為には、実は二重の意味があります。
➀「身元保証人として貴方を受け入れます」（ただの身元保証）
➁「貴方を妻として迎えます」（結婚の申し込み）
この二つの意味は、同じ「身元保証人」という言葉を使っても、根本的に異なります。
混同すると、大きな誤解を招く可能性がありますので注意が必要です。
園遊会では求婚の意味が多い
後宮では恋愛に飢えているため、多くは②の意味、つまり求婚の方向で話を進めたいと考えます。
時には「今晩一緒にいませんか？」という、ナンパ的な出会いを意味することもあります。
そのため簪を贈る行為が、必ずしも①の単なる好意だけを意味するわけではありません。
もちろん、贈る側が「義理なので本気にされては困る」と考えることもあります。
尚、猫猫はこのような状況を利用して、自身の里帰りの計画を立てていました。
猫猫は壬氏と李白から簪をもらう
猫猫は、園遊会で壬氏と李白の二人の男性から、簪を受け取りました（梨花妃は除く）。
壬氏からの簪は明らかに好意を示すもので、猫猫以外には贈られていません。
一方、李白は出会った侍女たちに対して、手当たり次第に簪を渡しています。
自身も、誰にどれを渡したか覚えていないほどです。
多くの侍女は簪を欲しがる
侍女たちの間では、簪を受け取れなかった者もおり、そのため猫猫が羨望の的になるのも理解できます。
簪の「有無」や「個数」は、後宮の任期終了後に保証人がいるかどうか？
そして将来的に、就職斡旋を受けられるかどうかにも影響を及ぼします。
このため多くの侍女たちが、簪を強く望むのは当然のことと言えるでしょう。
壬氏の求婚を猫猫は見抜けず
壬氏は猫猫に対して深い感情を抱いており、「好きだから」という理由で簪を贈りました。
しかし猫猫は、その真意を全く理解していなかったのです。
実際、園遊会が終わった後に小蘭にその意味を尋ねたところ、小蘭自身も後宮の習わしである求婚の意味を知らず、単に身元保証人としての解釈をしていました。
「その人の支援を得れば後宮の外へ出られる」という認識です。
猫猫は身元保証人として李白に接近
結果として、猫猫は故郷への帰還を願い、身元保証人として李白に接近します。
対価として、緑青館の三大美姫の一人である白鈴を設定したものの、壬氏は宦官という立場から対価としては不適切だと判断されました。
もし、壬氏に何か適切な対価を思いついていたら、猫猫は彼に頼っていたかもしれませんね。
李白は義理で簪を配っていた
壬氏と異なり、李白は本気の感情を持たずに、多くの侍女に簪を配っていました。
彼はこれを義理と位置づけ、挨拶がわりに簪を渡していたようです。
「身元を引き受けます」という重大な意味を持つ簪を、これほど気軽に配れるのは、李白ならではの豪快さかもしれません。
配った相手を全て覚えているわけではないようですが、そこから意外な恋が始まる可能性も否定できません。
後宮の限られた出会いの中で、これは大きな話題となり、侍女たちは心を躍らせるでしょう。
簪はもともと告白の証としての意味合いがあり、「好きな人に想いを託す」というロマンチックな行為です。
しかし、その意味が変化して、今の義理チョコのような位置づけになってしまったのは、何とも寂しい限りです。
それでも、この時代に男性が女性に贈り物をする文化の原点を、垣間見ることができるのは興味深いですね。
李白が選ばれたと壬氏が落胆
猫猫は単に故郷への帰郷を願っており、義理で簪を配っていた李白に協力を求めました。
壬氏は簪を贈ることに「求愛」の意味を込めていたため、猫猫が自分ではなく李白を選んだと解釈し、深く落ち込んでしまいます。
猫猫が「李白と共に町へ出る」と聞いた壬氏は、直ちに李白の素性を調査し始めます。
嫉妬から隠し切れない本音が出てしまい、それが玉葉妃に面白がられる事態に至ります。
壬氏は猫猫を呼び出し尋問する
さらに猫猫が後宮に戻ると、壬氏は彼女を執務室に呼び出し、尋問に及びます。
話の内容が上手く噛み合わず、壬氏は猫猫と李白が色っぽい一夜を過ごしたと誤解し、さらに意気消沈します。
このエピソードでは、壬氏にとって「完全に李白に負けた」という打撃が伝わり、そのショックの大きさが際立っていました。
後に誤解が解けるものの、壬氏の猫猫に対する愛情が周囲に明らかになり、彼の恋心が周知の事実となってしまいます。
壬氏はあまり隠そうとしていないようですから、これで良いのかもしれません。
まとめ
簪には「行きずり」と「求婚」の二つの意味が込められています。
猫猫は、壬氏と李白の二人の男性から簪を受け取りましたが、その意図を完全には理解していませんでした。
壬氏は求婚の意を込めて簪を贈りましたが、猫猫にはその意味が伝わらず、李白が義理で簪を配布していた事実により、壬氏は落胆します。
古くは、簪は言葉にできない思いを託す「本来の告白」として用いられていましたが、時代と共にその意味は軽いものへと変化しています。
この物語の舞台である後宮では、簪の本来の意味を知る者は少なく、多くは身元保証人としての意味しか認識していません。
猫猫には一日も早く、壬氏の深い感情に気づいてほしいものです。
彼の感情は明らかで、もしかすると猫猫が気づかぬふりをしているだけかもしれません。
これからの二人の関係がどう展開していくのか、非常に見逃せない展開が待っています。
