「天官賜福」は架空の古代中国を背景に、謝憐(シエ・リェン)を中心とした、多様なキャラクターが絡み合うストーリーを展開しています。
2024年1月にはアニメ第2期がスタートし、物語の深さに加えて画のクオリティもアップしています。
今回は帝君の過去や、これまでの経緯、人物像や正体に迫ります。
帝君とは一体どんな人物なのか?
帝君は1,000年以上にわたり、三界の第一武神としての地位を保っています。
帝君は武神としての名を持ちつつも、その物腰の柔らかさと美しい容姿が注目されています。
また、特異な趣味として、宝剣のコレクションを行っています。
真の理解者を望んでいたと推測
帝君が理解者を求めていたと見られます。
2,000年もの長い時間を経て、帝君は天界で別人として君臨してきました。
しかし、その間に帝君自身が感じていた決断や、苦悩を共有できる者は誰もいません。
周囲に崇められ称賛される中で、真に理解されることのない孤独が、帝君にとって最も苦痛だったと推測されます。
謝憐を新たな白無相とする計画
帝君は謝憐を、新しい白無相(バイウーシャン)とする計画を持っていました。
帝君が真に求めていたのは理解者であり、その可能性を謝憐に見出します。
謝憐が飛昇前に言った、
「たとえ体が無間地獄に落ちても、心は桃源郷にあり」
という言葉があります。
これは帝君にとって、自己の存在や決断への否定と受け取られ、侮辱と感じられました。
この感情から帝君は、謝憐を次なる白無相に育て上げる決意を固めたのです。
白無相は帝君の分身とされる
白無相は白衣禍世(はくいかせい)として知られ、四大鬼王の中でも最初の存在であり、帝君の分身とされています。
白無相の階級は、花城と同じく最上位の「絶」に位置付けられており、その誕生が仙楽国の滅亡を引き起こしたとされています。
見た目は17~18歳の若々しい姿で、中国式の白い喪服を身に纏っています。
泣き顔と笑顔の悲喜面(ひきめん)を特徴とする人物です。
白無相の最期は、君吾によって討たれたとされています。
全地域に渡り信徒が存在する
通常、神官は自身の管轄する寺院や、信徒から法力を得ます。
しかし、神武大帝である帝君には全地域に渡る信徒が存在し、その法力は特定の地盤に依存しません。
この事実からも、帝君がいかに特別な存在であるかが伺えます。
天界で最も尊敬される存在
帝君は天界で最も尊敬される存在であり、神官たちの中心的なリーダーです。
800年前、人間界への禁を破った謝憐を、帝君自らが二度にわたって天界から追放しました。
その後も謝憐の能力を高く評価し、重要な任務を委ねるほどの大器を持つことで知られています。
謝憐に自分と同じ試練を与える
帝君は謝憐に、自らの過去と同様の試練を与えることを選びます。
謝憐が追放されたのは、蒼生の民を救うために飛昇を試み、失敗したことが原因です。
帝君はこれを通じて、「蒼生を救うことは容易ではない」という現実を謝憐に教えたかったとされています。
この過程で、帝君は「自分のかつての決断は間違っていなかった」と自己肯定を求め、過去の自分に安堵を感じた可能性があります。
さらに、自身の若かった頃を謝憐に重ねることで、彼自身の心にも歪みが生じたと感じられます。
烏庸国を救おうとしたが失敗
帝君は約2000年前に烏庸国を救おうとしましたが、事態は逆に悪化してしまいます。
烏庸国は、古代に存在した仙楽国よりも古い国で、七つの城から成立し、烏庸国の太子によって統治されていた国です。
81章「山高路遠狹路不通」には、烏庸神殿の壁画が登場します。
この壁画には、烏庸国の人々が苦悩する様子が生々しく描かれており、この悲劇的な出来事は帝君にとって大きな挫折となりました。
国民の期待が失望へと変わる
国民は最初、太子(帝君)を偉大な神として信じ、彼に救いを求めましたが、事態は逆に悪化し続けます。
「神であるにもかかわらず、信仰する国民を救えないのか」との疑問から、国民は次第に太子(帝君)に失望を深めていきます。
太子(帝君)は自らの努力にもかかわらず、国民からの失望を受け、精神的に追い詰められてしまいます。
他の神官からの協力を得られず
帝君は他の神官からの助けを求めたものの、彼らからは支援を受けられませんでした。
当時、天界で影響力を持っていた帝君に反感を持つ者が多く、誰も手を貸さなかったのです。
アニメでも、帝君は謝憐への兵力の提供を拒否するなど、神官としての立場に疑問を呈されるような行動が見られました。
このことから帝君が助けを求めた際も、同様の反応があったと推測されます。
烏庸国が火山の噴火で滅びる
烏庸国は最終的に、火山の噴火によって滅びます。
帝君は予知能力を持っており、近い将来に烏庸国が火山の噴火によって消滅することを知っていました。
作中では、この悲劇的な運命が壁画にも描かれており、「火山が爆発し烏庸国を滅ぼす」という悪夢を見る帝君の姿が描かれています。
実際にその通りになった後、この地は銅炉山と呼ばれるようになりました。
烏庸国が滅亡し精神が崩壊する
帝君(太子)は烏庸国の滅亡をきっかけに、精神的に追い込まれてしまいます。
帝君は、神官たちからの援助が得られない中でも、国民を救うためにひとりで橋を建設し、天界への避難を試みました。
しかし、橋が完成間近で崩壊し、烏庸国は帝君が予知していた通りに滅びてしまいます。
神である自身が誰も救えなかった無力感から、帝君は精神的に大きな打撃を受けたとされます。
裏切った従者3人を処刑する
帝君は自身を裏切り去った、3人の従者を処刑します。
元々4人いた従者のうち、3人が帝君から離反。
これにより、既に国民からの絶望感に苛まれていた帝君は、これらの従者を裏切り者と見なし処刑に至ったのです。
処刑者が人面疫となり現れる
処刑された従者たちは、その恨みから人面疫となり、帝君の顔に現れるという怨念を持って現れました。
この出来事以後、太子(帝君)は人面疫を隠すために常に仮面を着用。
帝君の精神状態は、さらに悪化していったとされます。
この人面疫は、アニメの第4話にも登場しています。
新しい天界を創造し支配者となる
帝君は天界に対する復讐を経て、全く新しい天界を創造し、その支配者としての地位を確立します。
最大の危機時に支援を拒んだ神官たちを忘れず、彼らを排除することで復讐を果たし、新たな天界を構築しました。
この時に生み出された分身の一つが、白無相です。
まとめ
「天官賜福」の物語において、帝君は天界で最も高位の神であり、その複雑な過去と内面が作品の重要な魅力の一つです。
帝君の人生は自らの理解者を求め、謝憐を次の白無相としようと試みることから始まります。
白無相、すなわち白衣禍世は四大鬼王の中で最初の存在とされ、この選択は帝君の孤独感と責任感を反映しています。
約2000年前、帝君は当時の太子として烏庸国を救う試みに挑みましたが、その努力は逆に状況を悪化させ、国民の期待を裏切る結果となりました。
火山の噴火によって国は滅び、その出来事は太子自身の精神的崩壊を招きます。
失望した太子は、裏切ったと見なした3人の従者を殺害し、その後、天界に対して復讐し新しい天界を創り上げて帝君となりました。
この背景から帝君の行動は、彼のトラウマと責任感の重さに深く根ざしていることが理解できます。
謝憐に自分の過去を再体験させようとしたのも、帝君自身が孤独感と理解されたいという強い願望からであると解釈できます。
帝君のこのような行動は、彼が直面した苦悩と失敗に対する、帝君自身の処理方法として見ることができます。
作者は帝君を通じて、力と責任が如何に重いものであるか?
そして過去の出来事が、現在の行動にどのように影響を与えるかを深く掘り下げています。
この複雑な背景は帝君の行動の動機を明らかにし、読者に対してより深い共感や理解を引き出すことを可能にします。
帝君の物語は、悲劇的な過去が如何に現在の自己と関係を築き、未来の行動を形作るかを示す鏡のようなものです。