「我武神龐煖也。」
この台詞を耳にしたことがある方は、キングダムの読者ならずとも多いのではないでしょうか?
趙の三大天として知られる龐煖(ほうけん)は、その巨大な体躯と顔の目立つ傷が特徴です。
龐煖は単独で戦場を変える力を持ち、長い間、秦国や飛信隊に大きな脅威を与えてきました。
キングダム内で「最強」と称されることも少なくない龐煖が、遂に敗れる瞬間が訪れます。
その圧倒的な戦士がどのような運命を迎えたのかを、今回は詳しくご紹介します。
龐煖が最期に至るまでの経緯
秦にこれほど苦難をもたらした龐煖の死についての詳細は、多くの読者が気になる点でしょう。
龐煖の死は、単に「強敵が落命する」というだけのものではなく、彼の生涯が持つ深い意味にも触れています。
秦の宿敵であり武神を目指した
龐煖は多くの強敵を倒し、その勇名を馳せた英雄であり、秦にとっては宿命の敵でした。
- 亡き王騎の妻となるはずだった「摎(きょう)」
- 二度にわたって刃を交え、死の直前に自らの矛を信に託した王騎
- 王騎のように死の瞬間に信に自分の盾を譲った、本能型の極み「麃公(ひょうこう)」
これらの将軍たちを打ち倒した龐煖の死は、秦にとって非常に重大な意味を持ちます。
これから紹介する龐煖の生き様は、武を極めて武神(求道者)となることを目指しています。
人は他人を超えられない
龐煖は関わるすべての人々の思いを受け、それを糧に戦う信のことを「鎖」と見なし、その鎖を断ち切ろうとしていました。
龐煖は人々を争いの苦しみから救うために、「最上の存在となることが不可欠だ」と信じていたのです。
そして、人を超越しようとする龐煖に、命を懸けて挑むのが王騎、麃公、信です。
しかしながら、どんなに努力しても、人は他の人を超越する存在にはなれません。
そうして、龐煖の命の終わりは「人は人でしかない」という厳しい現実を示しています。
最後は信の一撃で命を落とす
キングダムの中でも特に印象的なのが、信と龐煖の数々の対決です。
初めて信が「百人隊長」だったころから続く、長期にわたる戦いでした。
龐煖の最期は王騎から継承された矛で、信によって体が真っ二つにされることによって迎えられます。
かつての宿敵であった、王騎の矛を手にした信による討伐は、深い因縁の解消を象徴していました。
この因果関係の終結に、何とも言えない奇妙な縁を感じざるを得ません。
さらに、この瞬間は信が自らの手で強敵を倒したことになり、散った仲間たちの仇を討つと共に、信の成長が如実に感じられる場面です。
龐煖の最期が描かれる巻と話数
龐煖の命が終わる瞬間は、複雑な人間関係と人の本質についての考察が交錯しています。
それでは、具体的に龐煖がどの巻で命を落とすのか?
ストーリーを追って、説明していきましょう。
58巻第627話で最後を迎える
龐煖の最期は「単行本58巻」の「第627話/道の行方」という章で描かれています。
舞台は朱海平原です。
趙の三大天の一人である李牧が指揮する本陣を目指し、飛信隊が挟撃を開始します。
激しい戦闘の中、信はついに龐煖と直接対峙。
龐煖の圧倒的な強さに押され気味の信ですが、一種の覚醒を経験します。
何度も矛で攻撃を仕掛けるものの、立ち上がる信に驚愕する龐煖。
そして、朱海平原の15日目にあたる「第627話」で、龐煖は遂に敗北を喫します。
自分の道を究極のものと信じ切って戦い続けた龐煖は、自らの矛が信によって破壊され、王騎の矛で体が両断されてしまうのです。
「道」がなかったことに気付いた
なぜ、信が自分に抵抗することができるのか、龐煖には理解できませんでした。
そして、龐煖は自らの信じてきた「道」が、もしかしたら存在しないのではないかという疑念に至ります。
龐煖の戦いは、人を超えることによって人々を救う、という目的があったのです。
しかし龐煖の敗北は、龐煖の方法が人を救うものではなかったことを示しています。
ただ敵を討つことで、終わるかのように見える龐煖の行動も、彼なりに信じた道を突き進むものでした。
龐煖が追い求めた「人の究極の幸せ」は、理解しにくいものでしたが、龐煖の死によってその夢も終わりを迎えたのです。
まとめ
- 武神・龐煖(ほうけん)は最終的に命を落とす
- その終末は信(王騎)の矛により、一刀両断される形で描かれた
- 武を極めることによって武神(求道者)となり、人々を苦しみから解放すると信じていた
- 龐煖の死は58巻第627話「道の行方」で描かれている
- 信による敗北は、龐煖の方法では最終的に「人は救われない」ということを示している
以上が龐煖の死に関する概要です。
龐煖の死は、人間の幸せに関する複雑なテーマに深く絡み合っています。
龐煖は自らの圧倒的な力で人々を超越しようと試みましたが、信は集団の力、つまり人々の絆と思いを武器に戦いました。
二人の戦いは非常に内容が深く、両者の信念が正しいとも感じさせるものでしたが、今回は人々の絆と思いが勝利をおさめました。
この勝利は信にとって、次なる大敵である李牧との戦いに向けた重要な一歩となるでしょう。